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社長業

Vol.112 社長が持たなければならない「金のかなづち」

作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)

 随分以前にこのコラムにご登場いただいた、北川八郎先生(熊本・小国町在住)が、よく「金のかなづち」の教訓を話してくれます。
 
 経営者は好調な業種が何年も続くと、多くは自信満々になります。その時、社長自ら「金のかなづち」を持ち出して、己の頭を叩け!と。
 
 言葉では簡単であり「当たり前じゃないか」ということになりますが、自信が嵩じて、過信になり、傲慢に変わると、もう誰も社長を止めることができません。
 
 業績は好調ですから、少々のことは押しつぶす勢いを持っています。「そこが落とし穴になる」とも言われます。
 
 何事にも、予兆は表れるので、些細な事項に注目して、自らを戒めるしかありません。
 
 例えば、「公職が多くなる」「本業以外に時間を費やすようになる」「古くからの取引先と切れた」「クレームが多くなった」「社内の問題点が社長の耳に届かなくなった」…など。
 
 会社はどんなに好業績であっても、問題は山積みしているのが実態です。販売も製造も最前線に行けば、様々な問題をかかえて、毎日努力しています。
 
 「報告がなかった。聴いていない」では済まされません。
 
 昨今の企業不祥事ではインターネットによる、内部告発が多い様ですが、社内の不満マグマが溢れた結果ではないだろうか。
 
 社長自身が、自分の懐に「金のかなづち」を持つか、ズケズケと言ってくれる「師」を持つか、多くの経営者が口ぐせに言っている「会社は明日にでもツブれそうだ」と、言い聞かせるしかない。
 
 9月を迎え、平成19年も後半戦に入ってきた。前半戦を振り返って「社長が絶対聞きたくないような悪い話」が、一回も耳に入ってない様だったら、注意して現場のみんな、特に、パートの皆に声をかけて欲しい。
 
 女性は正義感が強いし、より、消費者感覚が強い。彼女達が会社にとっての最初のお客様である。
 
 ひょっとしたら、「金のかなづち」の持ち主かもしれない。

 

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