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戦略・戦術

第200話 「自己資本を考える」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

日産自動車は自己資本(有利子負債)の少なさを批判されている!

種々業界がコロナ禍に直撃されています。日本のGDPの10%を占める基幹産業の自動車業界において日産は今期6712億円の純損失を計上し、日産一社がダメだ!と批判されています。

カルロスゴーン氏に責任を被せているようにも見えますが、決してそうではなく日本経済新聞においても、その財務脆弱性があまりにも酷いと指摘されているのです。

 

各社の負担比率を表していますが、

 

 

 

 

 

 

負債の規模とは 銀行の計算するギアリング比率です。

有利子負債  ÷  自己資本 で表します。

 

借金が自己資本の何倍あるのかの指摘です。

日産は 飛びぬけて借金体質であることを表しています。1.9倍、自己資本総額の2倍近くの借金を抱えているのです。

他の会社は1.0を超えていません!    

 

トヨタは 自己資本総額、有利子負債があるのです。(トヨタ銀行などと言われ無借金だと思っている人がいますが,トヨタも大借金を抱えています)

 

いずれの会社も倒産しても迷惑をかけませんが、日産は倒産でもすれば銀行に火の粉が降りかかります。

よって、トヨタの借入金の1つの社債の利回りは 0.5%ですが、日産は3月末には0.3%であったものが 5月には4倍の1.2%以上に金利率が上がっています。

 

日産は、これから大規模な構造改革に乗り出すでしょうが、何をしようと思ってもお金をどう自分たちの力で儲けて、キャッシュフローをよくするのか、総資産を切り売りして調達するのでしょうか?

 

自己資本が少ない、自己資本比率が低いということが財務が脆弱と言われる所以です。

外部から財務が脆弱と言われると資金調達は難しくなり、条件が悪くなるのです。

皆様の会社の財務力はどうなのですか?

収益性、利益性は大切ですが 収益がよくても外部から見て会社の優劣は、自己資本比率が判断の中心を占めます。財務知識のない方は ここが解っていないのです。

 

自己資本比率を高める9の打ち手

 自己資本比率を高めるには 次の9項目を常に維持することです。そうすれば自己資本比率はよくなり 銀行がわが社を見る目が変わります

①回収を早くする。売掛金、サイトを短くきっちり回収する社内ルールの確立。もしくは現金売上を増やす。「回収は早く、支払いは遅く」京セラ稲盛氏の言葉です。何しろコツコツと努力をするのです。

②在庫を多くしない。 棚卸を頻繁に行い、不良在庫を消すシステム化を進め、回転率を高める。やろうと決意して毎日、努力すれば5年で変わります。

③機械設備を早く償却する。 早めの償却、即時償却、30%優遇償却、特損出し、下請け、協力会社の協力を得て実現しましょう。

④利益処分を考える。配当しない、配当は商品券や物で。役員賞与を出さず、経費の中で処理をする

⑤リースを一考する(金利交渉を強くやる)

⑥銀行借入は 中途でも返済する。融資残を少なくする

⑦当座借越契約を結ぶ。必要な時に必要なだけ借り、余ればすぐに返済する

⑧現預金残は月商分以下とする。剰余金は安全有価証券(利回りを)で運用する

⑨資本金は1億円以下とする。1億円を超える資本金は減資を行い、剰余金の中へ組み入れる(中小企業の特典を活かす)

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