menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

戦略・戦術

第201話 「不動産を個人で持つか?会社で持つか?(M&A)」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

不動産業のM&Aが増えている

 相変わらず、M&A市場が活況ですが、M&Aの仲介大手の役員いわく、最近は、不動産業のM&Aも増えているとのことです。

 

 不動産業といっても、たくさんの人数を使って、分譲、仲介、管理、賃貸をやっているようないわゆる街の不動産屋のM&Aではありません。

 

 株主も役員も1人、あるいは、親子のみというような、スモールカンパニーの不動産会社です。

 

 こういう会社のM&Aというのは、つまりは、『不動産を現物ではなく、株式で売ること』です。

 

 私は、もともと不動産を持つなら会社で持ちなさい、という考えを持っていますが、不動産のM&Aを考えた場合に、個人で持っているケースと会社で持っているケースでは、どういう違いが出るでしょうか?

 

不動産を個人で持つケースと会社で持つケースの違い

 簡単に次のように考えてみます。

・会社の資産は、簿価が1億円の土地だけ

・会社の負債はゼロ

・自己資本は1億円

とします。

 

 簿価1億円の土地ですが、市場価格では、2億円です。つまり、含み益が1億円ある、という状態です。

 

 この状態で、土地を売る、とした場合に、売手としては、

(1)土地を売る

(2)会社をまるごと売る

という2つの選択肢があります。

 

 (1)か(2)、売手にとっては、どちらが良いでしょうか?

 

 まず(1)ですが、1億円の土地を2億円で売れば、会社には、売却益が1億円発生します。

となると、法人税で3,000万円支払う必要があります。結果的に、1億7,000万円が現金として残ります。

 

 このあとですが、もぬけの殻となった、空っぽの会社をずっと置いておいても、仕方ありません。

 

 別の商売を始めれば別ですが、ご高齢のオーナーであれば、

「このまま会社を残してもあれだしなぁ・・・清算しよう」となります。

 

 するとどうなるかというと、会社に残っている現金を、株主に分配する、という流れになります。会社の持株比率に応じて、分配してゆくわけです。

 

 この場合に、仮に、オーナー1人で100%の株式を持っているとした場合、1億7,000万円が表面上の収入です。

 

 しかし、このお金は、税務上は株式の売却収入ではなく、『配当所得』となります。

配当所得の場合は、他の給与所得などと併せて、総合課税となります。

住民税と合わせると、実効税率としては、50%くらいです。

 

 つまり、売却した金額の半分しか、手元に入ってこないのです。とてももったいないのです。

 

 次に(2)会社を丸ごと売る、というケースです。1億円の土地を持っている会社を売る場合、会社の売買ということで、M&Aとなります。

 

 のれん代は無視して、M&Aによる株価=自己資本(時価)とすると、会社の価値は、2億円と評価されます。

 

 この株式をオーナーが売るわけですが、自分が持っている株式を他人に売る場合、譲渡所得となり、税金としては「20%」で済みます。

つまり、売却した金額の8割が、手元に入ってくるのです。

 

 まとめると、

(1)の場合位は、8,500万円

(2)の場合は、1億6,000万円

手元に残ります。

 

 割り切って計算していますが、全然違うことがお分かりいただけると思います。

(2)会社で保有していたほうが圧倒的に有利なのです。

 

 オーナーのなかで、退職金等を使って、これから不動産を買うことを検討されている方は、ぜひ、専門家に相談して、出口戦略まで考えていただきたいのです。

知っているか、知らないかで、オーナーの手取りは全然変わってくるのです。

第200話 「自己資本を考える」前のページ

第202話 「販売チャネルを考え直せ」次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連セミナー・商品

  1. 第40期生「後継社長塾」2027年4月開講 毎期早期満席につき先行予約開始

    セミナー

    第40期生「後継社長塾」2027年4月開講 毎期早期満席につき先行予約開始

  2. 井上和弘の経営の核心102項

    井上和弘の経営の核心102項

  3. 井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

    音声・映像

    井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

関連記事

  1. 第196話 「政府系銀行を活用しなさい」

  2. 第122話 「個人保証に頼らない融資は、金融庁の重要施策です」

  3. 第40話 「賢明なる二代目経営者」

最新の経営コラム

  1. 第203回 COMPUTEX2026台北

  2. 国のかたち、組織のかたち(101)技術革新と経営(フラッシュメモリー開発 上)

  3. 「展示会の見せ方・次の見どころ」(2026年6月)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 製造業

    第290号 カイゼン提案活動で 『工場の売り上げも利益も社員実力も伸びる!』 実...
  2. 健康

    第19回「生活のマンネリ化からの脱却で脳が成長する」
  3. マネジメント

    モートン・ハンセン『Great at Work』に学ぶ、生産性を向上させる「賢い...
  4. 採用・法律

    第13回 『譲渡禁止特約が付いている債権を担保に出来るか?』
  5. 仕事術

    第95回 手軽にいい音。新しいオーディオのカタチ
keyboard_arrow_up