年始より、さまざまなアクシデントに見舞われた日本。
株価こそ記録的高値をつけているものの、国民に高景気の実感はない。希望の光だったアメリカ大リーグの大谷翔平選手が違法賭博事件に巻き込まれるなど、不穏な空気に包まれて明るい話題がとにかく乏しい。
自信を失いかけている日本人に今こそ読んでほしい一冊が
『仕事と人生にドラマを生み出す感動知性』(著:平野秀典)
『仕事と人生にドラマを生み出す感動知性』(著:平野秀典)
です。
感動プロデューサー平野秀典氏の5年ぶりの新刊。
本書の肝となる考えが、あとがきに書かれているので、少し引用します。
「分断と戦いが蔓延し、自然災害が容赦なく襲ういま、
それでもなおこの地球という星に共存する世界の人々に、
日本という感動を尊ぶ和の国に生まれ育まれた自分がわかちあえるものを表現しよう。
日本より愛を込めて、和をもって尊しとなす日本精神を、
恩贈りで伝える本を書くことが私の「まことの心」であることに行きつきました」
つまり、今日、失われつつある日本精神を取り戻すことが、大きな軸となっていますが、ただの愛国論ではなく、ビジネス書のスタイルに則って、具体的に綴られているところが特筆もの。
たとえば、商人道の原点として知られる石田梅岩の「石門心学」について。特に「仕事を成功に導く3つの徳」は経営者、リーダー必見。
さらに、三代目が石田梅岩の門弟だったという江戸時代創業の京都の高級麩料理店「半兵衛麩」の事例も見逃せない。
300年以上の時を経て、今も受け継がれる石田梅岩の教えとは?
また、江戸時代の近江商人の「商売十訓」に基づく項目も興味深いところ。
現代のCSRにもつながる近江商人の商売道は、今改めて見直したいものです。
もう1つ、「武士道」についての項目も読み応えたっぷり。
新渡戸稲造の武士道に関することはもちろん、明治時代に、当時の世界の盟主、英国ヴィクトリア女王に謁見を果たし、感動させた日本人女性、下田歌子氏についてのエピソードが印象的。
あの伊藤博文をして、「下田教授は大臣になる器である」とまで言わしめた下田氏とは、一体どんな人物なのか?
本書において平野氏は、
昔から受け継がれる日本ならではの感動知性を”ジャパンセンス”と呼んでいますが、下田氏はまさにジャパンセンスを体現する人物と言ってよいでしょう。
AI時代の到来で目新しさばかりが注目される中、古来日本の持つ魅力を見直し、活かしていくことが、いかに大切か。
「ないものねだり」ではなく、本来備わっているもの、「あるもの磨き」をすることの意味を本書は教えてくれます。
日本の柱を支える経営者、リーダーに、ぜひとも読んでいただきたい一冊です。
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
『渡辺はま子全曲集 シナの夜』(歌:渡辺はま子)です。
『渡辺はま子全曲集 シナの夜』(歌:渡辺はま子)
「シナの夜」「広東ブルース」「蘇州夜曲」など中国を題材にした曲を多くヒットさせて”チャイナ・ソングの女王”として君臨した、昭和歌謡の先駆者・渡辺はま子。
このCDに収録されているヒット曲”モンテンルパの夜は更けて”の誕生にまつわるエピソード
「死刑囚を救った感動の力」が、本書176ページから詳しく書かれています。
本書と合わせてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。