今回は、素敵な時計を見つけたので、写真におさめてきました。上の写真が高崎駅構内で、下の写真は福島駅前です。どちらの時計もかわいらしく、風景がなごみます。
先回、久しぶりに最強のモノづくりの話を再開しました。後半線のスタートが突然「レベル4=工場間の流れ」、「工場と工場の生産がその中間に在庫を持たないで、かつきちんとつながっている状態」から始まり、ずいぶん難しくなったなあと思われた方も多かったかもしれません。
実はその通りで、レベル3以前とレベル4以降には大きな違いがあるのです。
レベル0:ダンゴ生産
レベル1:工程内の流れ
レベル2:工程間の流れ
レベル3:工場内の流れ
レベル4:工場間の流れ
レベル5:お客様への流れ
レベル6:一気通貫の流れ
前著「最強のモノづくり」にも書いたのですが、確かにこのレベル4から現場だけでできる改善のレベルではなくなります。
何しろ全く違う場所にある別の工場と共同して改善をするのですから、その両方に対して、目を配ることができる経営者・管理者の方が、しっかりとその重要性を理解して下さらないと実行できません。
そして、このレベル4からレベル6に至る流れの改善が「本物の競争力を付ける」ための、いわば経営を支える改善なのです。
ですから、レベル3までは基礎改善とも言えます。つまり、レベル3までは「当たり前」、レベル4からが「本番」と捉えてください。
そして、レベル4からは完全に経営レベルでの改善なので、経営者が正しい改善方向を提示し、その上で改善を実行する現場の方をしっかりと評価できる体制を整えて頂きたいと思います。
というのも、時々、「改善はすべて現場に任せていますから、詳しいことは分かりません」という経営者にお目にかかることがあるからです。
しかし、改善を現場に丸投げしても大丈夫な範囲はかなり限られています。現在の厳しい変化の時代に生き残り勝ち進むためには、丸投げはやめて頂きたい考えです。
すなわち、経営者の改善に対する姿勢によって、せっかくの現場改善力を部分的な問題対応で使って満足するか、経営を支えるビッグパワーとして総合活用するか、その決定的な違いが生まれると心得てください。
これを、トヨタ生産方式でいう「7つのムダ」(つくり過ぎのムダ、手待ちのムダ、運搬のムダ、加工そのもののムダ、在庫のムダ、動作のムダ、不良を作るムダ)を例に説明します。
この「7つのムダ」は改善を実行する場合の定石です。しかし、この誰もが知っている内容でも、7つのすべてが同じレベルではないことをご存知でしょうか。
例えば「手待ちのムダ」や「動作のムダ」は生産現場中心で改善を進めることが多いと思います。しかし、「運搬のムダ」は物流荷姿や手段の検討をするとなれば、会社全体での議論が必要です。
もし、現場だけで「運搬のムダ」を改善しようとすると、台車の改善とか運搬回数の変更くらいが限界かもしれません。
あるいは、「不良を作るムダ」も再発防止レベルで満足するのではなく、さらに上のレベルである未然防止レベルの対策をしようとすれば、設計段階からの検討が必要です。
このように、誰もが知っている「7つのムダ」でも経営者がしっかり入って下されば、ものすごい競争力が手に入れられるし、入って下さらないと十分な結果が得られません。
そういう意味で、「レベル4」は完全に全体最適を意識した経営レベルのアプローチです。決してやさしくはありませんが、みんなでやれば必ずできるレベルです。だからこそ、できたら競争力が付くのです。
さて、今回はレベル4から始まる経営者のシフトチェンジの必要性をお話しさせて頂きました。次回は、このシフトチェンジの必要性がなぜ急に言われるようになったかをご説明いたします。
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