皆様、楽しい連休を過ごされたことでしょう。リフレッシュしたところでまたみんなで改善をいたしましょう。
下の写真は日5月2日に仕事で山形に行ったときに、山形駅近くの霞城(かじょう)公園で撮ったものです。東京では3月下旬に散ってしまいましたが、ここでは満開でした。日本は広いですね。
さて、今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実践編として実例を挙げます。
【急所95】工場を、モノづくりを見せるショールームとして活かせ。(216頁)
これだけではどういう事か分かりませんね。さっそく具体例を見て行きましょう!
●2012年4月 一年前のK社埼玉工場(従業員規模50人)で見た光景
K社では、4月から新年度が始まります。昨年度は「改めて、5Sに力を入れる」という社長方針で、活動を始めるということでした。お伺いする前日に社長のKさんから電話で、「今回は特に、5Sについて厳しくご指摘ください」という依頼が来ていました。
当日、早速現場に行って見ると、床は切粉(きりこ)の飛散で汚れており、地面にモノがじかに置いてある状態でした。要するに、まったく5Sできてない状態でした。
●理由を聞いてみた
K社は金属の切削を中心とした加工業なので、切粉(きりこ)や切削油で汚れやすい職場が多くありました。そして、「切削加工だから、切粉の飛散は仕方がない」といった固定観念があり、もうこれ以上はムリといった、限界意識が蔓延していました。
問題はそれだけでなく、モノの流れが良くないため、工程間の在庫が増えてパレットが足りず、多くの中間品が床にじかに置かれていました。
汚い床にじか置きをすれば製品が汚くなるのは誰にも分かることです。しかし、その時のK社では、それは仕方がないことだと、とらえられていたということです。
「どうせすぐ汚れるから」「掃除の時間を製造する時間にあてた方がいいから」「工場は汚れてるものだから」「お客さんは来ないから」…などなど、これから5Sをしっかりやろうという社長の決意とは程遠い言葉が、あきれるほどたくさん返ってきたものでした。
●掃除してみた
実は、当時のK社には大きな問題がありました。注文量の急速な減少です。しかしK社の工場部門は、営業部門が注文を取ってくるのを待っているしかないという、何ともなさけない状況でした。
そんな時、営業部門から、「新規の見込み顧客を確定顧客にするためには、工場を見てもらい納得してもらう必要がある。だから、徹底的に工場をきれいにしてほしい」という切羽詰まった依頼がありました。
つまり、お客さんは来ないのではなく、工場が汚くて営業マンがお客様を呼べない状態だったのです。それが、このとき初めて分かりました。同じ会社の仲間なのに、こんな大切なことが伝わっていなかったのです。
驚いたK社の製造部員は、これまで相当いい加減にやっていた5Sを真剣にやり始めました。社長も一緒にやりました。営業部の人たちも、もちろん一緒にやりました。
●どうなったか
当然きれいになりました。ただ、ポイントはそこではありません!なんと掃除するなかで「これって○○だね」「ここは○○できる」という発見がたくさん出てきたのです。
例えば、散乱していた切粉や切削油は、自動的に一か所に集まるようにできました。というのも、現在の技術では切粉を出さずに金属を削ることはできないけれど、どこから切粉が出てくるかは分かっています。
材料と刃が接する小さな一点からのみ出続けます。そうだと分かれば、その近くに小さな当て板を付ければ(局所カバー)、出た切粉は飛び散らず、その下に用意した入れ物にすべて収まります。切削油も同じ原理で集められました。
それともう一つ、営業の人の意見も大いに役に立ちました。「これで、お客様は我々のことを気に入って下さるかな?」という、外部の人からの目線が気になり始めたのです。
こういう5Sをはじめた結果、一年後の今はどうなっているか…続きは次回にお話しいたします。
◎柿内幸夫と行く!隠れた「お手本」企業の工場見学
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