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第46講 事例を使ってクレーム対応の間違いと、最善の対応を学ぶ  介護事業編(2)

クレーム対応 実践マニュアル

~利用者から、台所のフローリングに傷(2㎜以上のへこみ)があるとの訴えがあった。担当ヘルパーや他事業所に確認したが、思いあたることがなく、どのようにしてついた傷かわからなかったが、最終的には、損害賠償保険で修理を行った。この利用者は以前にも他事業者との間で同じことがあり、その時も保険で修理してもらったとのことだった。訪問介護だけでなく、他サービスも入っており、家族の出入りのあるので何が原因か判明しない状況であったが、この件により担当ヘルパーから交代したいという希望があり、ヘルパーの交代も余儀なくされた。~
(※出典:神戸市介護サービス協会作成 在宅介護における事故・クレーム対応事例集寄稿原稿より)
 

 

(1)責任の所在が明確にならない場合、毅然とした対応がとりにくい。
    
責任の所在が明確ではない事象が発生した場合、毅然とすることが良いことではありません。そもそも原因の起因が明確ではないのだから、何%かは、自事業所に責任があるやもしれませんので、毅然とできる問題ではありません。
しかし、「そんなことは絶対に、こちらとしてはあり得ない!」と言い切れる事象もあろうかと思います。 その場合にしても、相手と喧嘩別れをする覚悟がないなら、また関係上喧嘩別れができないなら、緩やかな対応をするしかありません。また、こちらにも非がないとは言い切れないと言う場合ならなおさら緩やかな対応が必要です。


このときに用いる対応を『こんきり対応』と言います。手順としてはこうです。まず調査結果を伝えます。
「いろいろ調べましたが、私共での原因の特定には至りませんでした。」
 つまり、当社のせいだと言えるものが見つからないと言うことを率直に伝えます。
でもこの内容では相手は絶対にOKすることはありませんから、次に「本来でしたら、原因の特定にあたらないものには一切対応しないのが、通常対応でございますが、ただ、今回のことで改めていろいろな検証の機会をいただきましたことで、今回に限り、原因の特定に当たらないのにも関わらず***の対応をさせていただきたいと思います。ただし、今後は、私共の原因の特定に当たらないものには、一切の対応はいたしかねますのでご了解ください。」と、今回1回だけは、いくらか譲歩をして、いくらかの対応をしますと言う約束をします。

この場合注意していただきたいのは、このいくらかの対応というのは、相手の希望を100%飲まなくてもかまいません。相手の希望の半額や、金額によっては相手の希望の10%と言うことでもかまいません。
さらに、忘れずに力強く伝えていただきたいのは、「ただし、今後は、私共の原因の特定に当たらないものには、一切の対応はいたしかねますのでご了解ください。」ということです。今回の甘い対応に、増徴して再度同じ様なことが発生しても「私共の原因の特定に当たらないものには、一切の対応はいたしかねます。」と言ってつっぱね、そのときこそ喧嘩別れをするべきときなのです。

これが『こんきり対応―原因の所在がどこにあるのか判らないけれど今回に限り対応します。でも原因の所在が当社にあると明確にならない限りは次からは一切対応しませんよ。』という対応です。



(2)補償を行うことでこちらの非を認めた形となり、ヘルパーが辞めてしまう。
     
『こんきり対応』に責任所在の意味はありません。これはクレーム対応の一つの手法です。
相手と円満に解決するため、対応のまずさで更なるクレームに拡大させないため、そして最後には、こちらの誠意をご理解いただけない相手とはお別れするための手法です。
誰が悪い、何が悪いということが見つからないからこそ使う手法なのです。ですから、誰が傷つく必要もありません。

 

中村友妃子          



※用いた事例は、実際事例ではなく、よくある事例を基本にして、講師が、独自に作成した事例であることを
ご了承ください。

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