平成31年3月、厚生労働省・東京労働局が都内各公共職業安定所で受理した新規学卒者の「求人票」を基に、求人初任給を公表しました。この「求人票」に記載された求人初任給は月額賃金であり、就職後に受ける月例給与の確定額が、まだ記入できない場合には、現行賃金額を記載することとなっています。
賃金額の内訳は、月ごとに支払われる基本給に諸手当を加えたものであり、決まって支払われる物価手当、地域手当、住宅手当等は集計に含まれますが、通勤手当、皆勤手当、超過勤務手当等の「特殊手当」は集計に含まれません。
(1) 大学卒
大学卒の求人初任給は208,000円(前年比1.5%増)となりました。最も高い求人初任給は、産業別で[建設業]が220,000円(同1.3%増) 、職業別では [専門・技術]の211,500円(同0.7%増)でした。
(2) 短大卒
短大卒の求人初任給は194,000 円(前年比2.1% 増)となり、最も高い求人初任給は、産業別では[教育,学習支援]の210,400円(同5.2%増)であり、職業別では[専門・技術]の195 ,000円(同0.5%増加)でした。最も低い求人初任給は、産業別で[金融業 ,保険業]の184,200円(前年同)、職業別では[事務]、[販売]の190,000円(事務:前年比2.3%増、販売:前年比 0.9%増)でした。
(3) 高校卒
高校卒の求人初任給は175,000円(前年比1.2%増)となりました。最も高い求人初任給は、産業別では[建設業]の185,000 円(同1.1%増)、職業別では[専門・技術]の180,000円(同0.6%増)でした。最も低い求人初任給は、産業別では[金融業、保険業]の165,000 円(同1.9%増)、職業別では[事務]の170,000 円(同1.0%増)でした。
以上が東京都の学卒求人初任給のデータです。自社の所在県の労働局データの確認も必要でしょう。併せて「2019年都道府県別モデル本給表」(賃金管理研究所編)の各県の上位・中位・ローカル水準を基に大卒初任給(Ⅱ等級12号)、短大初任給(Ⅱ等級2号)、高卒初任給(Ⅰ等級16号)の金額を併せて確認いただくと良いでしょう。
本来、新規学卒採用とは職種を限定しない優秀人材の採用ですから基本給の金額が決め手となります。加えて若年労働者は極端な売り手市場が続きます。
初任基本給額に各種職務手当とか、技能・技術手当, 精皆勤手当・出勤手当(奨励手当)、物価手当、地域手当等を積み上げて、ようやく世間並の金額になるのでは優れた学卒者の採用どころか若年労働者の採用すら困難になります。
諸手当の額が所定内給与の10%を超えることのないように整理整頓し、誰が見ても納得できる採用基本給を実現します。さらに就職後は仕事力の伸びに相応しい実力昇給ができるように成績評価を含めて処遇制度を整え、優れた社員の定着を図るべきです。