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戦略・戦術

第111話 「なぜ自社の資産再評価行為(オフバランス)等をして、節税を考えないのでしょうか?」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

未だに自社の貸借対照表(B/S)の資産の部を精査して、現在の価値に再評価をしていない会社があります。
別にそんな事をしても何の効果もなく、急いでやる必要もないとのんびりしておられる中小企業経営者が多すぎると感じています。
 
1.なぜオフバランスをやるのですか?
2.なぜやらなくてはならないのですか?
3.実際どうやるのですか?
4.誰がやるのですか?
5.納税額が下がるので税務当局がクレームを言わないのですか?
 
1、2に対する答えは
 会社は、収益性を求めています「会社の収益を示す指標は何ですか?」とこの質問者に私が問います。
正しい解答は、ほとんど出てきません。
 
収益性は総資産(資本)経常利益率(ROA)なのです。よって、総資産は常に中身の正しい(含み損のない)活力ある資産にしておくべきなのです。
ところが、長年の間に、望みもしないサビや腐りが出ているのです。早く、処理をするべきなのです。(リンゴ箱の中の腐ったリンゴは他に害を与える)
 
自社の取引銀行は、期末のP/L、B/Sを見て、会社をスコアリング(ランク付け)して、優劣を見ているのです。銀行からの信用度を高めるのは経営者の仕事です。
 
3、4に対する答えは
 資産台帳の帳票をもって、現場を実調査するのです。
管理部門が手分けして、現場責任者と協力して、あるもの、存在しないもの、価値のないもの、評価の低いものを詳細に調べあげるのです。
大掃除をやるのです。
中小企業なら、社長が指揮して、顧問税理士も加わればいいのです。
掃除は、後に遅らせるより、一日でも早くすることが綺麗になるコツです。
特に不良在庫、不良売掛の処理は時間とエネルギーが必要です。問題を先送りしないで、面倒なことを後回しにしないで始末をしてゆくことです。
 
5の場合は、後の行動が大切です
捨てるにしろ、売却するにしろ、後々のために資料を作成することです。
時価評価証明書、提案書、売却計画書…いろいろな文章を作成しなくてはいけません。
特に土地に関しては、不動産鑑定士、税理士等の簡易鑑定書を作成するのです。
 

オフバランスは絶対に企業を良くする、確かな必要な行為であるにもかかわらず、この作業に対して反対者、抵抗者が出現しています。
1.ベテラン幹部
2.頭の固い税理士
 
1は過去の事項をほじくり返してほしくないか勉強不足なのか、理解できない理屈をいいます
2は、税務署をなぜか恐れるのです
これらの抵抗勢力を排除するのには内なる方向にエネルギーが要るのです。
困ったことです。
 

特に勉強していない頭の固い税理士は、含み損を抱えた土地の関連会社への売却をことのほか反対してきます。
 

平成23年6月のグループ税制で一部制限が加わりましたが、それ以前でも
・会社で所有しているゴルフ会員券や、取引先様の上場会社の有価証券等で特別損失の生み出しを嫌がりました。
「赤字になると銀行の評価が下がりますよ!」とわけもわからず言ったものです。税引き前利益が下がると租税回避とみられるのを嫌がったのでしょうか(?)…
 
・「それはグループ税制にひっかかるので、当局は認めないと思いますよ」と脅しをかけたのです
 
例えばA・Bのような案件では別にグループ税制にはかかりません!
 
A 売却会社A社は株式構成が、同族者、社員、持株会、投資育成会社で構成されている。
  購入先のA社は、社長の息子が100%株主のB社に売却
 
B 売却先はA社の社長個人が購入した
 

ABの事例でも売却は可能です。
100%子会社がだめで、1%でも全くの他人が入っている会社であれば、勿論100%子会社ではないので売却は可能なのですよ!
 

資産を帳簿から落とす正当な方法は、いくらでもあります。
税理士の中には未だ本当にわかっていない人がいっぱい存在します。
 

オフバランス(資産再評価行為)による節税策を申し上げましたが、まだまだ租税回避ではない、正当な節税策があります。
本来でしたら顧問税理士さんから提案があっていいはずなのに、全く何も言わない税理士さんが存在するのが不思議です。
次のことを実行されておられますか?
 
(1)「倒産防止共済」への加入、子会社、関連会社含めて加入されていますか?
(2)少人数私募債の発行と引き受け
(3)全額損金生命保険(消えた保険が再び生まれてきましたよ!)
(4)社長代表権の返上、退職日の×日設定と対策
  退職日を決めたら配当しない。純資産を減らす利益を出さない
(5)高額退職金支払いのための準備
(6)プライベートカンパニーやファミリーカンパニー子会社設立による節税
(7)資本金減資による節税対策
 

あくまで合法的に節税を考えるのは一番の「ノーリスクハイリターン」策なのです。税金は一番会社に見返りのない出金であると私は考えています。
 
重要視される会社の利益は、あくまでも「営業利益」「経常利益」であって、税引き前利益ではない事を重々、知っていただきたいのです。

 

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