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税務・会計

第41回 【経理部門・若手社員の離職率を下げる】3つのポイント

賢い社長の「経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」

 厚生労働省の発表によると、新入社員の3年以内の離職率は3割を超えています。新入社員の離職率は、会社の規模が小さくなるほど高まる傾向にあります。中小企業ほど、若手社員の定着率が悪くなっているのです。
 この離職率の傾向は、企業の経理部門においても同様です。
 ここ数年、「久しぶりに採用した新卒の経理社員がすぐに辞めてしまった」「優秀な若手社員から辞めていく」という話を、いろいろな会社の経理部門から聞くようになりました。

そこで今回は、新入社員を迎える時期を直前に控え、「若手経理社員が辞めていく理由」「若手経理社員の離職率を下げるポイント」について考えます。

御社の20代社員の離職率は、何%ですか?

 


若手社員が辞めたくなる「経理事務のやり方指導」

 どこの会社でも新人教育は基礎固めから始まります。「まずは基本をしっかり学ばせる」という方針です。
 経理部としては、長年継続してきた経理事務と同じやり方を、新入社員にも教えてやらせようとします。これまで経理部員全員が継承している社内のやり方なので、上司も先輩社員もそこに疑問を感じません。
 基本的な入出金や取引に関する経理の記帳事務からはじまり、各種帳簿への転記や締め処理について、実務をとおして理解してもらいます。
 日常の経理事務を繰り返して作業することで、会社の帳簿体系を体で覚えさせようとしているのです。

 ある会社の経理部門では、新人の最初の仕事として「小口現金での経費精算事務」を担当させてきました。つまり、「社員の立替経費の精算業務」です。
 領収書を整理して出金伝票を手で起票し、小銭を数えて袋詰めさせ、最後に現金出納簿と金庫の残高を照合させる、基礎中の基礎の仕事です。
 先輩社員が、初日の仕事を終えた新人経理社員に感想を聞きました。
 すると次のように言われました。


新人:「正直、イジメかイヤガラセかと思いました」


先輩社員は大変に驚いたそうです。

 なぜ、新入社員はこのような感想を言ったのでしょう。理由は、「新人がイメージしていた経理の仕事とは、かけ離れていた」からではないでしょうか。
 経理部に配属された新入社員は、昔ながらの経理の仕事を見て、次のように感じているのです。

「いまどき、キャッシュレスじゃないのですか?」
「紙に手書きする意味が全然わかりません」
「パソコンがあるのに、どうして電卓が必要なんですか?」

 上司や先輩社員が、親切心から自分と同じ体験をさせようとしても、若い世代からは「役に立たない無意味なことをやらされた」と受け取られかねません。
 運動部に入ったばかりの新入部員が、毎日毎日球拾いと持久走ばかりさせられて辞めてしまうのとよく似ています。

御社では、「時代遅れの経理のやり方」を新人に押しつけていませんか?

 


優秀な若手社員から辞めていく理由

 「最近の若い者は、我慢が足りない」
 若手社員が辞めた会社の経理部長に話を聞くと、必ず口をついて出る決まり文句です。
 一方、若手経理社員はこう言います。
 「時代遅れの経理のやり方は、我慢の限界を超えている」
 「伝統的な経理事務のやり方に固執する上司」、「それに疑問を抱く若手社員」。両者の考え方の間には、大きな世代間ギャップがあるのです。その結果、若手社員は仕事にやりがいを感じられなくなっていきます。

 怖いのは、「優秀な若手社員ほど早く辞めていく」ということです。優秀な人材ほど、将来の自分のキャリアを考えているからです。
 期待の若手経理社員が退職する理由は、次のようなものです。
「2年働いて、この程度の仕事しかやらせてもらえない」
「今の仕事を続けていても、社会人としての成長は期待できそうもない」

 若手社員は、上司や先輩の仕事内容や専門能力レベルを見て、自分の将来のキャリアコースをイメージします。
 若手社員が、上司や先輩社員の優秀な部分を見落としているだけかもしれません。
 しかし、上司や先輩社員が理想となる姿を示していなければ、将来へのよいイメージは描けません。
 学生時代の同級生と仕事に関する情報交換もするでしょう。自分が任されている役割や業務レベルが他社と比較して「この程度か」と思えば、コンプレックスや焦りにもつながるでしょう。

 最近のZ世代(1990年代なかばから2010年代初頭に生まれた世代)は、生涯ひとつの会社で働き続ける考えは薄れています。「自分の能力を発揮して、どう成長できるかが重要だ」と考えているのです。

若手社員のホンネを、聞いたことがありますか?

 


組織を成長させるために「若手社員の声を聞く」

 経理部門は、異動が少ない部署です。
 経理の仕事は変化が少なく、月次、年次でやることがほぼ決まっています。変化がないと、業務内容や仕事のやり方に疑問を感じなくなっていきます。その結果、前例踏襲でお役所的な事務処理をするだけの仕事になりがちです。
 しかし、現在のようにデジタル化が急速に進むなかで、変化を受け入れずに旧式のアナログスタイルを続けていくのには限界があります。新しい様式、新しい人材を受け入れない組織は衰退していくからです。
 だからといって、上司や先輩社員の考え方すべてを否定して、若手の言い分をすべて受け入れればいいというわけではありません。組織として、「守るべき部分」と「変えていく部分」のバランスを取りながら進めていきます。
 社長は、幹部の意見だけでなく若手の声も聞いて、組織変革の必要性を感じ取ることが重要です。
 特に、現在のように変化のスピードが速い時代で成長するには、新しい世代の感覚が必要です。
 社長としては、会社として、組織として、継続的に新陳代謝を促していかなければなりません。組織が古くさいまま凝り固まっているようであれば、新しい仕組みを取り入れながら、刷新・成長させていく必要があるのです。
 特に、変化が少ない経理部門に対しては、継続的にトップダウンで新陳代謝を促さないと、危険な状態になってしまうでしょう。

御社の経理部門は、若手社員が活躍できる環境になっていますか?

 

【参考】
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」(令和3年10月22日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00004.html

 

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