menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家の
”声”と”文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ
  • 小
  • 中
  • 大

経済・株式・資産

第66回「流行は追わずに、ひたすらわが道を行く強さ」ウェルシアホールディングス

深読み企業分析

ウエルシアホールディングスの業績拡大がますます勢いを増している。今や存在感が著しく高まっているドラッグストア業界において、売上高はすでにトップである。
 
同社はM&Aによって売上高を大きく伸ばしている。見方によっては、親会社のイオンが抱えていた企業をM&Aで傘下に入れているわけであるから、親の七光りではないかという見方もできよう。しかし、イオンの子会社は規模が大きくなっても低迷状態の企業が多い。一例に、食品スーパーのUSMHがある。USMHは売上高こそ7,000億円と食品スーパーのトップであるが、収益はここ数年間低迷状況を抜け出していない。

kukayomi66no1.jpg

それに対して同社は業績不調な企業をM&Aによって傘下に収め、業界平均を大きく上回る高い利益成長率を示している。
 
同社の戦略は単純明快である。一般消費者の利便性を高めるもの、消費者のほしいと思うものを店頭に並べることに尽きる。それらは決して大量に販売できなくても直接会社に利益をもたらさなくても関係ない。それによって、会社が狙う会社の利益に貢献する商品を買ってもらうという戦略である。
 
それゆえ、外野から見れば、何でそんなものをというような施策も多い。同社の各店舗には、地域の住民が自由に使えるスペースがあり、公民館代わりに使われている。しばしば、食品スーパー、コンビニにはイートインスペースや休息スペースがあるが、必ずしもそれらとは性格が異なる。
 
また、ある店舗ではイートインでカレーを供給したり、別の店舗では青空市場を催したりする。レジ横のコーヒーや代金収納代行などはコンビニでもいまや常識であり、驚くものではないが、同社でも実施している。
 
これらはすべて消費者があれば便利と感じるものである。しかし、一方でそのコンセプトに反するものには見向きもしないのである。代表例がインバウンド対応である。ここ数年、我が国の観光立国政策にけん引されて、訪日外国人が急増している。その結果、都市部にあるドラッグストアは大いに潤っている。
 
我が国ドラッグストアは、当初都市部中心に発展し、その後は郊外型の店舗が食品の大量販売で勢いをつけてきた。しかし、そのような郊外型の大手ドラッグストアではインバウンドが盛り上がると競って都市部にもインバウンド対応の店舗を出店してきた。しかし、同社はインバウンドには目もくれずに、地域の生活者だけに目を向けて、各種施策を実行している。それゆえ、インバウンドが減速した昨今でも同社の勢いは一向に衰えていない。
 
有賀の眼
 
一見すると、時々の流行に素早く合わせることは、企業戦略として賞賛されるように見える。しかし、それは逆に言えば、決して得意ではない分野で戦わなければならないことも意味するのである。そのような市場で、常に勝ち続けることは不可能であり、結果的に無駄な投資をしていることにならないだろうかと思う。
 
同社のように自ら得意とする分野について日夜考え、実行することで、その分野の第一人者になれるのではなないだろうか。その意味において、同社の勢いは当面衰えそうもないのである。改めて、どこかの真似をするのではなく、自社の大切にするものは何かと問いかけてみると、何か大切なものが見えてくるような気がする。

第65回 田舎では田舎のやり方を極める「ハローズ」前のページ

第67回「地味にコツコツ開発したサービスが、宝の山に当たることもある」はてな次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連セミナー・商品

  1. 【お金の授業】世界で勝つ! 日本の外食企業  成長戦略と株式研究

    セミナー

    【お金の授業】世界で勝つ! 日本の外食企業 成長戦略と株式研究

  2. 《最新刊》有賀泰夫「2026年秋からの株式市場の行方と有望企業」

    音声・映像

    《最新刊》有賀泰夫「2026年秋からの株式市場の行方と有望企業」

  3. 社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

    セミナー

    社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

関連記事

  1. 第82回「いよいよ本格化する関東進出」やまみ

  2. 第145回 あえて一時的なフォローの風を拒絶して、コンスタントな利益成長を志向 寿スピリッツ

  3. 第131回ラーメンの海外進出によって、第3期の成長ステージ入りも(アリアケジャパン)

最新の経営コラム

  1. 第207話 驚く事実 日本の輸出がアジアNIESより少ない

  2. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2026年10月28日号)

  3. 第九十九話 出会いを育て、取引の柱をつくる展示会戦略 ~大阪の町工場に学ぶ、販路分散とお客さまづくり

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 経済・株式・資産

    第148回 中国の不動産バブル崩壊と金融リスクは要注意
  2. コミュニケーション

    第190回「相手の段取りは、6割をもって合格とする」
  3. そのひと手間を、誰かが見てくれている。

    教養

    第118回『そのひと手間を、誰かが見てくれている』(著・中谷彰宏)
  4. 税務・会計

    第12回 何を売りモノにするのか、顧客を絞り、そのニーズを深堀せよ!
  5. 経済・株式・資産

    第58回「株価は最終的に業績で決まる」という教訓
keyboard_arrow_up