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税務・会計

第42回【経理人材の他部署活用】組織の計数管理レベルを向上させる方法

賢い社長の「経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」

 春は人事異動の季節です。 
 社員の入社や退社だけではなく、配置転換や昇進、職掌の変更、部門の編成替え、新規事業の発足など、組織図や体制が新しく変わる会社も多いことでしょう。
 そんななかで、経理部門は人事異動の対象から外れることがあります。
 経理は専門的な仕事です。人の異動は難しいと考えられているようです。
 一方で、経理部門の人材が他の部門へ異動して、活躍しているケースも見られます。
 そこで今回は、経理部門の人材がどのような職場で活躍し、成果を出しているのか。事例を紹介しながら解説します。

御社の経理社員が、最後に異動したのは何年前ですか?

 


【経理人材の活躍①営業部門】数字に基づいた業績管理に変える

 経理社員を畑違いの営業部門へ異動させている会社は、あまり見ません。しかし、実際に成果をあげている事例もあります。
 もちろん、経理社員に飛び込み営業をやらせるわけではありません。経理経験者には、営業部門の業績管理を中心に担当してもらいます。
 営業部門の部長や課長は、販売成績の功績として管理職に昇進している場合が多いので、必ずしも管理能力が優れているとは限りません。営業部門の幹部でさえ、会計の知識がある人はほとんどいません。
 ですから、業績管理がうまくできていない営業部門に、数字に強い経理経験者を配属するのはとても有効なのです。
 販売重視の営業部長の場合、売上の数字目標の達成が至上命題になりがちです。そこに経理経験者が入ることにより、予算実績に基づいて粗利益や営業利益を会計的に管理するように変わります。
 たとえば、商品や顧客単位の、毎月の粗利益率の細かい数字の変動にも目が行き届くようになります。
 営業社員が業績に関する様々な数字を意識するようになると、販売単価や粗利単価に異常がないかを見直すようになります。「広告宣伝費」や「営業活動費用」の配分の改善を検討したり、営業社員の行動が変わっていきます。
「もっと頑張れ」と営業社員を鼓舞するだけではなく、数字に基づいた効果的な業績管理ができるようになっていくのです。
 そして、「売掛金の回収」についても、厳しい管理をするようになります。「売掛金の回収」が遅れると、経理が資金繰りでとても苦労することを、身をもって体験しているからです。
 経理は売掛金が回収不能となった場合、発生する貸し倒れ損失が決算書にどれほど大きなダメージを与えるかを経理経験者は充分知り尽くしているのです。

御社の営業部長は、計数管理能力が高いですか?

 


【経理人材の活躍②購買部門・製造部門】現場のムダを排除して効率化する

 購買部門では、数字に強い経理社員が活躍できる領域があります。
 仕入在庫管理を担当者の経験や勘に頼っていると、在庫が過剰になっていることがよくあります。
 特に危険なのは、過剰在庫が常態化しているのに、社員が誰も問題視しなくなることです。
 経理経験者は、在庫が資金繰りを圧迫することを充分理解しています。ですので、過剰在庫を発見したら、すぐさま対策を打つことを社長に提言するでしょう。そして、商品ごとの回転率を見ながら発注量や在庫量の適正化を図るような仕組みの検討を促します。

 製造部門では、経理人材の活躍の場はさらに増えます。
 生産管理で原価計算をするとき、会計の知識が必須なのはいうまでもありません。メーカーでは、経理社員は必ず1度は工場に配属になるのが常識です。
 原価計算以外でも、製造ラインの「稼働率の管理」「歩留まりの計算」「原材料や仕掛品の在庫管理」など、すべてにおいて数字に強い人材でないと務まりません。
 製造部門においては、1円単位でのコストダウンが徹底しています。ですので、細かい数字の積み重ねが会社の利益にどのように連動しているかを理解している経理人材に適した職場です。

 このように、購買部門や製造部門に経理経験者が配属されると、小さいムダの排除の積み重ねにより、会社の資金を効率的に運用できる経営体質になっていくのです。

ムダを半分減らしたら、会社の資金はいくら増えますか?

 


【経理人材の活躍③人事総務部門と兼務】カネの知識をプラスして堅実経営を強化する

 人事部はヒトの専門家であり、総務部はモノの専門家です。
 人事部では、忙しくなって人が足りない部門からの要請に応じて、適正な人材を採用することに専念します。
 しかし、採用する前と後に、その部門の労働生産性や労働分配率までしっかり検証している人事社員はほとんどいません。
 総務部でモノを発注する場合においても、耐用年数を考慮した減価償却費の配分や投資効率まで計算して判断できているわけではありません。
 それぞれの専門部門は、「良い人を採用する」「良いものを購入する」ことを優先しがちです。

 人事総務部門に経理社員が加わると、カネの専門知識がプラスされます。
「元は取れるのか」「投資対効果はどうか」。会社経営に欠かせない考え方が追加されると、投資判断を間違えなくなり、堅実経営になっていきます。
 人事と総務と経理がタテ割りの仕事をするのではなく、ヨコのつながりを良くして情報を共有するようにします。すると社長の意思決定が、確実にやりやすくなっていきます。
 経理社員にほかの管理部門の仕事を兼務させて仕事の幅を広げていくと、人材投資や設備投資の計画を財務面から考えて仕事をするようになっていきます。

御社では、ヒトとモノとカネが計画どおりに回っていますか?

 


【会計スキル+業務スキル+経営スキル】で会社の計数管理レベルが向上する

 今回は、経理人材を他部門に配属したり、仕事を兼務させたりすることにより、社内の計数管理レベルをあげていく事例を紹介しました。

 経理人材の活躍① 【営業部門】業績管理や回収管理を強化する
 経理人材の活躍② 【購買製造部門】経営のムダを排除する
 経理人材の活躍③ 【人事総務と兼務】ヒト・モノ・カネを効率的に回す

 会計スキルを身につけている貴重な経理人材を、何年も経理部門だけに閉じ込めておくのはもったいない働き方かもしれません。
 経理人材が多方面の仕事を経験することで、会計スキルのほかに、業務スキルや経営スキルが上積みされていきます。
 経理人材だけではなく、他部門の社員も会計的な数字の見方を吸収する機会が増えます。そのことにより、会社全体の計数管理レベル向上が期待できます。

 ただし、ただ人事異動させるだけでは高い効果は期待できません。
 社長から経理社員に対して、人事異動の目的を具体的に伝えてください。

 「会計スキルを活用して、計数管理を強化してほしい」
 「会計スキルを活用して、過剰在庫の適正化をしてほしい」
 「会計スキルを活用して、投資効果の高い購買業務をしてほしい」

 目的や使命が明確なほど、社員のやる気と成果が高まります。

御社では、社内の管理レベルが向上する人事異動をしていますか?

 

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第43回 値上げの春は要注意!業績直結「コスト構造の点検」3つのポイント次のページ

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