仕事で三重県に行ったのですが、空いた時間を使って真珠王と呼ばれる御木本幸吉翁の記念館に行くことができました。
http://www.mikimoto-pearl-museum.co.jp/know/memorial.html
御木本幸吉翁の偉大な功績を知り感動したのですが、それと同時にその功績を生み出した一つの理由に幸吉翁の持つ大いなる明るさがあったと知り、なるほどと思いました。私も笑顔を増やすようになりました。
さて、今回はチョコ案制度の9つの特徴の最終の 9)についてご説明いたします。
1、大きな成果を求めない。
2、独創性を求めない。
3、会社の役に立つことや仲間が喜ぶことであれば、従来の改善提案の常識にとらわれずすべて評価する。
4、結果のみでなく、プロセスも評価する。
5、報告の用紙も極力簡素化し、「改善以前の状況」と、「改善後の状況」と「自分の氏名」の3点を書けばよいというメモ程度の内容で十分とする。
6、一般の改善提案制度のように内容の等級付けをしない。
7、報奨については1件100円前後の金額が妥当であると考える
8、1ヶ月に全員が最低でも1件の改善を実行して報告するといったルールを設ける
9、気軽な発表会を実施し、みんなで改善というものに慣れ親しむ。
それでは、9、気軽な発表会を実施し、みんなで改善というものに慣れ親しむの特徴について続いて詳しく説明します。
私がこのことを指導先のK社で提案したところ、「発表会をすると言ったとたんに、みんな逃げちゃいますよ」、と社長のOさんがおっしゃいました。確かに発表会というと、何か重々しい雰囲気があるかもしれません。
しかし私がいう発表会は「チョコ案」の発表会ですから、もちろん「ちょこっとした発表会」です。
イメージとして、全部で一分間くらいの本当にちょこっとしたものです。皆さんの前にチョコ案の実行者のAさんが出てきて、改善前の写真と改善後の写真を並べて、「以前はこうだったんですが、ちょっとやりにくかったので、こう変えました」というだけです。
そして、そこにいる社長さんが「こりゃあ確かに楽になるなあ、よく頑張りました、Aさんありがとう。あっそうだ、この改善はBさんとCさんのところでも使えると思うから、マネして来月のチョコ案にしたらどうかな…」とコメントして締めくくって下されば最高です。
発表会をすることによって、発表を聞いた人が刺激を受けたり、別の人の仕事の内容を知ったりします。会社では基本的に、仕事をそれぞれの従業員に分担してやってもらいます。もちろん、これが一番能率的な仕事の進め方ではあるのですが、その結果、自分が担当する仕事以外はほとんど知らないということが起きていることが多いのです。
そして、これは大変にもったいないことです。なぜかというと、知っていればいろいろな助け合いやアイデア出しができるのに、知らないのでやりようがないのです。気の利かせようがないのです。これは大きな機会損失だと思います。
発表会は、知らず知らずのうちにそのような問題を解決します。そして、社長がどんな小さな改善でも必ずほめてあげることで、皆さんに「こんな小さなことでもいいんだ」という安心感とチョコ案に対する理解が生まれます。
私の指導先のJ社では、発表会で自分のチョコ案を発表した人にはご褒美に1枚100円の改善券が10枚プレゼントされます。とてもお得です。その結果、各職場で発表者を毎回必ず出して、その後みんなでお茶をするといった習慣が生まれています。楽しいですね。
モノづくりの職場では、自分のことや意見をみんなの前で話すといった機会は少ないです。ですから、なかなかそれぞれの人や職場のことが分かりません。そして、アピールする機会もほめてもらう機会も少なくなってしまうと、そこで働く人たちの居場所というものができにくいと思います。
しかし、発表会のためにちょっと準備して、やはりちょっと緊張して発表したら、すごくほめられたという経験を通じて次の改善に対する意欲がわき、人から認められることによって、会社内での自分の居場所が明確になるのです。
これでチョコ案に関するすべての説明が終わりました。次回はチョコ案に関するまとめをいたします。
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