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マネジメント

第153回 『時間を二つに分ける』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

 
私は、時間を二つに分けて使っている。
 
私の手帳は、当残ながら、仕事の予定がぎっしり書き込まれている。
年、月、週、日、…の基本スケジュールである。
これを英語では、《予約済みの時間(Time Booked)》という。
 
それ以外に、月2~3回の個人的勉強会(と、以前は週二回のボディビルの予定も)を、
しっかり手帳に書き込んでいる。
 
こうして決められた時間以外は、スケジュールにはないが《活用できる時間》だ。
この時間をいかにうまく使うかが、個人の工夫によるところだろう。
 
 
英語に、《Holes In The Day》という表現がある。一日の中の、時間の穴のことだ。
 
たとえば、八時間睡眠をとるとする。
仕事が八時間、通勤が〇〇時間・・・と、一日をある面積と考え、
その中を色で塗りつぶすように区切っていくと…時間と時間の間には、
スキマができるはずだ。
これが、《Holes In The Day》である。
 
一日一冊の《買書家》を自認する私の場合、
これらの細切れ時間は、たいてい読書にあてる。
 
若い頃など、「眠るのは死んでいるのと同じだ」とばかりに時間を削った。
(現在では、寄る年波には勝てず、「いい生き方をするために寝るのだ」
 という理屈で、自分を納得させてねむっているが・・・・)
 
以上が、私にとっての《二種類の時間》の使い方。
 
加えて、簡単なことは複数で行なう主義、すなわち、《ナガラ族》である。
朝は、食事をとりながら、新聞を読みながら、外国語放送も聴く。
通勤電車の中では、もっぱらビジネス教養、語学などの音声を聴く。
夜は床に就くなり本を広げ始め、活字を追いながら、
英・仏の語学CDや講演CDをかけることもある。
 
読書も、一度に三冊くらいは並行し、異なる本を読んでいる。
要は、時間にケチなのである。
 
 
こう説明をすると、いかにも雑駁(さっぱく)な時間の使い方をしているように
とられるかもしれないが、
問題によっては、《一時一事の法則》は守るようにしている。
 
これは、経営でいえば、《集中管理の原則》と同じもので、
重要なことは、一時に一つのことしかせず、
集中することで効果を上げようとするものである。
 
というわけで、外資企業の経営者をしていた頃は、
いろいろな時間を使い分けるのに精一杯で、
私の場合、時間をかけた家族サービスはほとんどすることがなかった。
せいぜい、夕食時の会話ぐらいなものだ。
 
家族には申し訳なかったが、己の人生の一生の持ち時間が限られていると思うと、
時間は浪費したくないという気持ちが先行して、
ついついムダと思われるものは省略してしまうのである。
 
 
日本では「日記」をつける習慣があって、
「過去」の時間を反省し、これを是とするが、
「未来」の時間である《予定表》の使い方は、今ひとつ工夫されてもよいと思う。
 
周囲を見回すと、時間に遣われている《時間奴隷》や
自分なりの時間を使いきれない《時間貧乏》の諸氏が多いようだ。
 
あくまで時間の主である《時間リッチ》になりたいものである。
毎日の時間を上手に使うしか、寿實下人生の過ごし方はないのだから。
 
 
そういえば、すごい仕事を見事にこなす点で、私が尊敬する英国人は、
決して「I am busy.」とは言わないのに気付いた。
「I am occupied.」とのたまうのである。
 
時間をマネージしきっている人特有の、自信を示唆する言い回しだと思う。
 
 
 

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