ご存じの方も多いだろう、こんな逸話がある。
アメリカのセールスマン二人が、アフリカの未開地に靴の市場調査に出かけた。
一人は、着いてすぐ本社にテレックスを打った。文面は
“アス カエル。クツガウレルミコミナシ。
ウレルミコミナシ。ココデハ ミナ ハダシ”
もう一人も、テレックスを打った。
“スグ クツ 5000ゾク オクレ。シジョウカイタクノヨチ ムジンゾウ。
ココデハ ミナ ハダシ”
何か問題があったとき、“これは問題だ”と捉えるだけではだめで、それを機会としてみなす態度が必要だ。
先の逸話で、何がここまで違う行動を導き出したのか考えてみると、“誰も靴を履いていないこと”が問題だったのである。
その問題を機会として捉えるか、全く無に帰すかは、ひとえにその個人の「問題意識」の持ち方によると思うが、
いかがなものであろうか?
企業人として一番いけないのは、安易な現状肯定である。
光文社を設立した神吉晴夫氏の著書に「現場に不満の火を燃やせ」というのがあったが、常に前向きな問題意識を持ち、
何がよくて何が悪いのかの見極めをすることが、ずいぶん違う結果を生むもののようである。
“空気にツメをたてる”という言葉もある。
これは何もないところに爪をたててみて、問題がどこにあるのかをみろ、ということらしい。
問題があることが問題なのではなく、問題があるのに、それが見えないことが問題なのである。
そして問題が見つかったら、これを裏から見て機会とみなし、
この機会を最高のものにしようとする努力が、今度は必要になってくる。
企業の中には評論家は必要ない。
必要なのは、常に不満の火を燃やし続け、問題をチャンスに転換することのできる「爪たて人間」なのである。
新 将命