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マネジメント

第83回 『好きを探す、から、好きになる』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

好きなことを仕事にできれば、これほど幸せなことはない。そう思う人は、少なくないだろう。
だが、どんなに好きなことでも、それが仕事となると、たいてい「こんなはずではなかった」ということになる。
たいへんな努力を求められたり、その世界の裏側を見なければならなかったりするからだ。

「二番目に好きなことを仕事にし、二番目に好きな女性と結婚するのが、一番幸せな生き方だ」という、西洋のことわざもある。

今の仕事が好きでないと感じているのなら、仕事を楽しむ方向へと気持ちをスイッチしよう。
「好きな仕事をする」のもいいが、「仕事を自分の好きなことにする」のはもっといいではないか。

宝飾品メーカーに勤務するCさんは、入社前の面接で宣伝企画を希望した。だが、配属先は百貨店の売り場だった。
要は、セールス担当だ。
上司には、「最初は、販売を経験した方が、将来のためになる」とかわされた。「一年か二年間だから」ということだった。

だが、何年たってもCさんの移動はなかった。お客様はヒマそうなおばさんや、彼氏の腕にぶら下がった女性ばかり。
「まともに取り組む仕事ではない」とさえ思える。ところが、大手メーカーなので給料は悪くなく、やめる決心もつかない。
Cさんは、いやいや仕事をしながら、辞めるわけでもない自分にイライラする日々を続けていた。

そんなある時、注文の品を届けたお客様宅で、いつものように宝石のうんちくを披露したところ、
相手が、心底から感心してくれた。
「この宝石には、そんな意味もあったのね。買ってよかったわ…」と。
Cさんの眼からウロコが落ちたのは、この言葉を聴いた瞬間だった。
「自分には、人を喜ばせるだけの宝石の知識があるんだ…」と。

やがて、Cさんは、ウエブで自前のブログを始め、宝石に関する知識を中心に、毎日思いつくままに好きなことを書き始めた。
発表の場を得ると、宝石に関してもっと知りたいという気持ちが自然にわいてくるようになった。
こうして、結果的に、Cさんは、最初は興味をもてなかった担当職務を、自分の好きな仕事に変えることができたのである。


自分の仕事を好きになれない人の多くは、真剣に仕事に取り組んだことのない人だといって、過言ではない。
どんな仕事でも深く掘り下げていけば、必ず、「おもしろい」と感じる何かを含んでいるはずだと、私は確信している。

「仕事が嫌い」と心を閉ざしてしまってはいないだろうか。
好き嫌いを言う前に、少なくとも3~5年は、とことん仕事に取り組んでみよう。最初の1~2年は仕事や人間関係に
慣れることで、ほぼ終わってしまう。
だが、その時期を通り抜けたころから、仕事がおもしろく感じられるようになることが多いものなのだ。

1年や2年で「この仕事は好きになれない」と放り出すのは早計にすぎる。工夫しようとか、情報を集めようとか、
少しでも自分から積極的に動きたくなるまで続けてみよう。
そんな姿勢で没頭すれば、つまらないと思えた仕事の別の面が見えてくるようになる  
………と、部下たちに言い聞かせてきたものだ。
 

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