前回は、アメリカの素晴らしい会社をリポートしました。
アメリカの会社も、日本の会社でも、素晴らしい会社は、継続する会社で、それは、人が辞めない傾向にあるようです。では、辞めない会社にするにはどうすると良いか?たくさんの会社を見させていただき共通していたのは、「採用」。ある経営者が言っていた言葉が印象的でした。それは、「採用の失敗は教育では取り戻せない」
では、採用でのポイントは何でしょうか?
「採用は、能力ありなしではなく、合うか合わないかである」
能力で、この人優秀、この人優秀でないと見ていると、会社は東京に行こうとしているのに、実は本人は大阪に行きたかった。ということになってしまい、これでは、いつかその違いに気づいた時に、離れるしかなくなってしまいます。最も長く一緒に仲間として仕事をするには、能力ではなく、「合うか、合わないか」が、ポイントなのです。
では、何を合うか合わないかというと
2つのポイントがあります。
1つ目は、「その会社らしさ」だと考えます。
この人は、うちらしさに合うか?
ということは、まず、「うちらしさ」の定義を決めないといけません。
アメリカのPatagoniaでは、「社員どの人を見てもPatagoniaの人ってわかりますよ。うちらしい人が働いているんです。」と、幹部の人が語ってくれました。
このポイントがわかりやすい定義の仕方だと思うのです
【どこからもうちらしい人はどんな人ですか?】これを数多くだし、定義するとよいです。
・服装
・見た目
・言葉遣い などなど
2つ目は「大切にしたい事は何か?」
会社において、最も大切にしていることは何でしょうか?一言で言うとどんなことがあるのでしょうか?緻密さ?やさしさ?
Patagoniaは、「地球を守る」ということを言っていました。
ディズニーは、「SCSE」と大切の順番を定義し、一番目は、安全(Safety)で、一般的な会社では、「お客様を大切に」は、一番に来ますが、それに準ずるもの礼儀(Courtesy)が、ディズニーでは2番めです。そして、3番目が、ショー(Show)、4番目が、効率(Efficiency)。
サウスウエスト航空は「ユーモア」と「優しさ」だそうです。
そして、この大切にしているものと合うか合わないかを面接するわけです。
Patagoniaでは、必ず面接で質問するそうです。「何か地球を守ることはしていますか?」と。
サウスウエスト航空は、有名な話では、パイロットの採用試験で、「ズボンを脱いで、下半身パンツ一枚になってください」と面接官が言うそうです。そこで、笑いながら素直にズボンを脱ぐ人は採用し、なぜそんなことをしないといけないのか?という人は採用しないそうです。(現在この方法はしていないそうです)
そして、サービス業なので、相手を大切にする優しさが大切と、社内ルールでは、すべての人を家族だと思って判断する。48時間以内に必ず返事をするなど言われた相手が、お客様であれ、社員であれ、その人が家族だったらどの対応しますかで、考えなさいという社内カルチャーがあるそうです。
写真:サウスウエスト航空本社 取材時 筆者撮影
採用試験の時には、人気企業のためかなりの数試験に来るそうなのですが、待っている会場で、スタッフが、言うのだそうです「皆さん緊張しているので、どなたか、前に出て、みんなを笑わかせてくれませんか?」と。「あー、そこで、前に出てきた人を採用するのですね?」というと違うというのです。「前に出てくる人も緊張してますから、あまり話は面白くありません。しかし、聞いている人の中に、その面白く無い話を、微笑んで聞いている人がいるんです。その人を、見つけて採用します」と。「優しい」人を見つける良い方法だと思いました。
写真:サウスウエスト航空本社通路 壁の写真が面白い 筆者撮影
採用の準備で必要なことは、
【最も大切にしていることは何ですか?】
【それを持っている人を探す試験、質問を考える】
を、準備しておくのが大切です。
他にも。面接の方法として前職の船井総研では、「素頭」(元々の頭能力)が大切と昔の面接試験では、「傘の使い方を20個言ってください」と、素頭力(臨機応変力)を探していました。
ある飲食業では、「相手の思いやり」が大切だから、面接の待合室で「お茶とお菓子を用意し、皆さん緊張しているので喉が渇くから、飲み物を飲みます。その時に、周りの人に飲みますか?と、一言声をかけれる人を採用する」と、教えてもらってことがあります。
日本のコールドストーンクリマリーさんでは、チームワークが大切と、「長い時間をかけて、10人程度のチームを作り、課題を出し、チームでやってもらい、その中で、チーム力がある人を探し採用している」と、一度採用試験に参加させてもらいましたが、すごい納得の面白さでした。
写真:コールドストーンさん 採用風景 筆者撮影
いろんな会社で、いろんな採用の仕方があるようです。大切なのことは何かというと「やり方の前に、あり方」であり、
前述したように
1, うちらしいとは、何か?
2, 最も大切にしていることは何か?
3, 1、2を発見する方法は何か?
人が、人の能力の良し悪しに判断することは、もしかするとできないのかもしれません。それを追求すると、後々別れることになるのかもしれないです。能力も大切ですが、能力よりも「合うか、合わないか?」ここに着目し、面接の準備をして、採用する、ここに継続する会社の根本が隠されている気がします。