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税務・会計

第10回 固定費を見直して損益分岐点を下げておく 

賢い社長の「経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」

新型コロナウイルスの影響による企業倒産が、毎日のように報告されています。
このいわゆる「コロナ倒産」は、7月、8月と減少傾向にありましたが、9月、10月は増加に転じました。
その結果、2月から10月までの累計件数は680件となっています(東京商工リサーチ「『新型コロナウイルス』関連破たん状況」)。
業種別に見ると、飲食業、アパレル関連、宿泊業が上位を占めています。
GoToキャンペーンなどの経済政策で、どこまで回復できるのでしょうか?
一方で、コロナ禍による生活習慣の変化にうまく対応して、業績を伸ばしている企業もあり、どの会社も生き残りをかけて必死に取り組んでいます。
 
 
御社の今期の決算見込みは、黒字ですか? 赤字ですか?
 
 

●コロナ倒産の原因は固定費の負担
新型コロナウイルスの感染拡大により、廃業や倒産に追い込まれている企業に共通しているのが、固定費の割合が高いことです。
仕入などの変動費は売上が減れば、その分だけ発注を減らせばいいのですが、固定費はそういうわけにはいきません。
従って、コロナ禍のような想定外の事象で売上が減少した場合に、固定費の負担が大きい会社ほどダメージを受けるわけです。

固定費の中で、金額が大きいのが人件費と家賃です。
特に、給与は社員の生活がかかっているので、待ってもらうわけにはいかず、借金をしてでも払わなければなりません。
そこで、2020年度は企業経営を援助するために、助成金や給付金が増額されました。
給料については「雇用調整助成金」、家賃に関しては「家賃支援給付金」が支給され、固定費の補填が行われました。
コロナ緊急対策融資と合わせて、固定費の支払いに充てて、赤字を補填した企業は少なくありません。
ただし、これらの助成金や給付金には予算枠があり、来年度以降も継続されるかは保証されていません。
 
御社は、コロナ対策の助成金や給付金をいくら受けましたか?
 
 
●固定費はすぐには削れない
労働集約型の業種や、設備を使用する業態では、経費に占める固定費の割合が大きくなります。
そして、固定費の厄介なところは契約で縛られているので、すぐには削減できないことです。
雇用契約、賃貸借契約、リース契約など、長期間にわたり支払いを約束されているものが多く、解約する場合は違約金を請求されるものがほとんどです。
 
売上が増えるのを見越して、社員を増やし、場所を広げて、設備を増強してきました。
そのために次々に契約を交わしてきた結果として、毎月支払い続けなければならない固定費が積み上がっていったのです。
思うように売上が上がらず、毎月の固定費の支払いに苦しんでいる会社の社長は、「社員に給料を払うため、大家に家賃を払うために経営しているようなものだ」と、感じていることでしょう。
 
御社の毎月の固定費は、いくらですか?
 
 
●固定費は定期的な見直しが必要
だからといって何も手を打たないと、固定費の負担は高いままです。
契約更新のタイミングで、必ず見直しをするだけでなく、多少の違約金を支払ってでも、途中で契約を変更したり、解除したりすることも検討します。
経営状態に合わせて、経営スタイルを変更し、売上規模に見合う経費負担に変えていくのが社長の仕事です。
 
まずは現状の毎月の固定費を洗い出し、金額の大きい順に見直していきましょう。
人件費については、リストラはできなくても、
「職場の人員配置は適正か?」
「儲からない仕事を続けていないか?」
「これまでのように賞与を払い続けていけるのか?」
など、見直すべき点はいくつもあるはずです。
 
家賃についても、テレワークや在宅勤務により、オフィススペースを縮小したり、家賃の安いところへ事業所を移転したりする会社も出てきています。
「現状の固定費は、本当に必要なのか?」を見直してみてください。
 
御社の固定費トップ3は何ですか?
 
 
●損益分岐点売上高を検証する
固定費を見直すときに、基準になるのが損益分岐点売上高です。
損益分岐点売上高とは、赤字にならないために最低限必要な売上高です。
つまり、売上高と経費総額(変動費と固定費の合計)が等しい場合の売上高のことです。
損益分岐点売上高は、次のように固定費から逆算できます。
 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 粗利益率
 
従って、固定費を下げることにより損益分岐点売上高は下がり、少ない売上でも経費がまかなえる経営状態になるのです。
毎月の月次決算がまとまったら、経理に指示して、各部門の売上高、粗利益率、固定費を集計して、損益分岐点売上高を算出してもらいます。
そして、社長が幹部と一緒に各部門の固定費を見直して、損益分岐点売上高をどのくらい下げられるかを検討してください。
 
御社の損益分岐点売上高はいくらですか?
 
 
●売上減少を想定した固定費を予測する
次に、売上が減少したときに備えて、固定費をいくらにしておけばよいのかを計算しておきます。
例えば、売上高が2割ダウンした場合を想定してみます。
減少後の売上高に粗利益率を乗じた粗利益が、固定費をまかなえるかどうかを見積もっておくのです。
 
 2割減少後の売上高 × 粗利益率 ― 固定費 = 利益(または損失)
 
もし、売上が2割減少した場合、「赤字」になるようなら、事前に対策が必要です。
社長は常に最悪のケースを想定して、売上が減少したときに、固定費をどの程度削減しなければならないのかを計算しておかなければなりません。
売上の減少割合に応じて、削減する固定費の項目と金額をあらかじめ考えておき、まさかのときに備えておきましょう。
 
御社の売上が2割減少した場合、固定費はいくらにすべきですか?
 
 
【参考】東京商工リサーチ「『新型コロナウイルス』関連破たん状況【10月30日16:00現在】」
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20201030_02.html
 

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