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- 業績アップにつながる!ワンランク上の手紙・メール術
- 第15回 会えないお客様と信頼関係を築く方法
私の父は昭和10年生まれ、都心からさほど遠くない郊外のベッドタウンに暮らしています。車は所有していません。
父の体は元気ですが、自宅からほんの200~300メートルしか離れていないところにあるスーパーに行くことを嫌います。そのスーパーに行くには車の往来の激しい幹線道路を横切る必要があり、その横断歩道を渡るのが怖いので、怖い思いをしてまで買い物に出かけたくないというのです。
父の例はあくまで一例です。
しかし、このように、たとえ体が元気であっても日常の買い物に困難を感じる人が急増しています。
2015年の経済産業省調査では60歳以上の買い物弱者数は700万人とされており、この数が増加をたどる一方であることは、容易に予測できます。
今後は「自宅に訪問して行う」サービスに対するニーズが高まっていくのでしょう。
そして、そのとき企業が直面する課題に、留守宅(会えなかったお客様)に対してどのようにフォローしていくか? というものがあります。
私が代表を務める一般社団法人手紙文化振興協会では、昨今、こうした「会いたくても会えないお客様とのコミュニケーションに、手書きのひと言メッセージを活用したい」と考える企業から研修の問い合わせが増えています。
想像してみてください。
無機質なメモ用紙に数字だけが手書きされた「〇月〇日〇時再配達」という紙1枚。
その一方で、季節を感じる草花が品よくデザインされた紙に、手書きでひと言、次の文言が添えられていました。
「本日10時、商品のお届けにうかがいましたが、お留守のようですので、明日また参ります。お庭のバラがきれいですね」
「こんにちは、お変わりないですか。また明日10時頃、お届けにまいります。季節の変わり目ですから、ご自愛ください」
書き手と受け取り手の感覚は圧倒的に異なります。
書き手にとっては「何気ないひと言」でも、受け取り手にとっては滅多に目にすることのない温もり感じる1枚です。
数か月先でも大事にとっているというケースを、実際のところ、しばしば耳にします。
手書きによるひと言は、お客様との信頼関係を築く最強のコミュニケーションツールです。
これから先、ますますその色合いが強くなっていくでしょう。