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<事例―3 ソメスサドル(B2BとB2C)>武豊が騎乗した有馬記念のディープインパクト用の鞍(くら)に採用され、洞爺湖サミットの際に参加した首脳と夫人に日本のお土産として同社のバッグが贈られた企業・・・それがソメスサドル

酒井光雄 成功事例に学ぶ繁栄企業のブランド戦略

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画像出典:ソメスサドルHP http://www.somes.co.jp/top.html

 

●ソメスサドルとはどんな企業なのか

 ソメスサドル社は北海道歌志内(うたしない)市に本社、同砂川市に工場を持ち、乗馬用の鞍などの馬具と鞄などを製造販売する地場型中小企業です。
 
 有馬記念で武豊騎手と共に有終の美を飾ったディープインパクトに使用された鞍を始め、中央競馬や地方競馬、皇族が使用する乗馬の馬具を提供しています。
 
 2008年に開催された洞爺湖サミットに参加した各国首脳とその夫人の贈答品として北海道知事から選ばれた鞄を製造した企業としても、知る人ぞ知る存在です。
 
同社が歩んできた道
 
 ソメスサドル社は東京オリンピックが開催された1964年に産炭地振興条例(当時炭鉱の閉鎖が相次ぎ、石炭に変わる産業を育てるための条例)の適用を受けてオリエントレザー㈱として創業しました。
 
 当時は需要減に悩む馬具職人を集め、輸出用馬具メーカーとしてスタートしました。しかし第一次オイルショックと円高により輸出は急減し、同社は債務超過に陥ってしまいます。
 
 同社の出資者の一人だった父親が倒れたため、当時20代後半だった長男の染谷純一氏が経営を引き継ぎます。大胆な人員整理を行い、また馬具だけでなく馬具づくりで磨かれた技術を生かして鞄やバッグの生産を本格的に開始します。
 
 1985年、社名をソメスサドル株式会社に変更します。フランス語で頂点を意味する「SOMMET」と鞍の意味のサドルからこの社名が命名され、常に最高をめざすという同社の姿勢が表現されています。
 
同社のブランド力を向上させる取組み
 
 同社がブランド価値を向上させながら、ファンをつかんできた取組みとしては、
 
 ◎馬具で培われた技術を生かした馬具と革製品を中心にしたモノづくり
 ◎フランスやイタリアから選び抜かれた高品質の皮素材の採用
 ◎サミットにおけるG8各国首脳への贈答品に選ばれた実績
 ◎中央競馬や地方競馬の御用達、皇族を始めとする乗馬ファンの獲得
 ◎2003年新宿伊勢丹本店メンズ館のリニューアル時に、1階正面玄関前に売り場が誕生し、
  一躍デパート業界とその関係者に知られる
 ◎ファッションショップのトゥモローランドなどとのコラボレーション
 ◎積極的なPR(パブリシティ活動)
 
…といった取組みにより、日本のエルメスとも評され、根強いファンを創造することに成功します。
 
 参考までに同社の鞍(オールパーパスサドル)は29万4千円、男性用鞄(パッサージュ)は15万7500円となっています。
 
 
ソメスサドルの事例に学ぶこと>
偶然ながらフランスの馬具メーカーからスタートしたエルメス社と同じ道を歩み、クラス感のある乗馬の馬具を製造するという企業イメージを活用して、鞄やバッグなどの皮製品に付加価値を付与することに同社は成功した。G8の首脳と夫人の贈答品となり、伊勢丹に採用されたことでその評価は確立する。誰が使い、どこで販売するか。この2点が企業と商品の価値を決定づける要因になる。
 

<事例2 アリアケジャパン(B2B)>業務用市場で圧倒的な力を発揮し、食品メーカーのインテルと評されるまでに成長した、知る人ぞ知る企業がある前のページ

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