東京・世田谷区の二子玉川駅周辺で、掲示されているQRコード(3次元バーコード)をスマートフォンや携帯電話で読み込むとクーポンやポイントが受け取れる「ニコトコ」という実験的サービスが3月末まで行われている。
この企画は、東京都~神奈川県にまたがって鉄道、商業施設、不動産事業などを行なっている東急電鉄が、少子高齢化やマス媒体の影響力低下、ネット消費の拡大など自社にとってマイナスとなりかねない要因への対応のため、IT技術を利用してお店に送客する手法(オンライン・トゥ・オフライン=online to offline)として、経済産業省の平成23年度「産業技術実用化開発事業費補助金」を利用して行なっているものだ。
二子玉川ライズショッピングセンターに行って、「ニコトコ」のスマートフォン用アプリを立ち上げ、「クーポン検索」機能を使って店内を見てみると、画面に洋服、バッグ、フォーク・ナイフ、魚などのマークが浮かび、クーポンがある店を教えてくれるようになっている。
しかもこのマークは、地下の食品のクーポンは下の方に、上階の洋服などは上の方にと、3次元3D)的な要素も持って表示されているので、どの辺の階にクーポンがあるかが直感的にわかるようになっている。
携帯電話やスマートフォンに備わっている位置情報サービス(GPS)機能は、知らない場所に行く時の道案内として私もよく使っているし、迷子を探したり周辺のレストラン情報を検索するなどもできて便利だが、衛星や携帯電話の電波などを使って位置を計測しているため建物内の上階と下階を区別することができず、これまでは施設内の店舗が自店に集客するのは難しかった。
ニコトコを始めるに当たり、二子玉川ライズでは建物の正確な緯度経度の計測などを行い、施設内の店舗にも送客できるようにしたので3次元が可能となり、位置情報による集客が一歩実用化に近づいた。
また、この実験には東急電鉄が運営する二子玉川ライズ、東急ストア、ドッグウッドプラザなどのほかに、玉川高島屋ショッピングセンター、近隣の商店街なども加わった約1,300店の情報が登録され、約200店舗のQRコード付ステッカーが街や商業施設の中に貼られていて、クーポン利用などの消費者行動情報を活用した推奨店情報も提供している。
東急沿線は、一人当たりの課税所得が全国平均の1.5倍と比較的ゆとりのある人達が住んでいる地域で、二子玉川は子連れ主婦や家族連れの割合が高い場所でもあるため、「ニコトコ」がどのような成果を生むか楽しみだ。
======== DATA =========
●ニコトコ WEBサイト
http://p.tokyu.jp/nicotoco
●ロケーション・クルーズ・プロジェクト WEBサイト
http://creative-city.jp/locationcruise/