あなたは今、手の中に二つの案を持っているとします。
第一案は、仕事に支障を来たさない為に必要最低限のビジネスマナーでAさんに接する。
第二案は、あなたが自分のコミュニケーション力を上げて、あなたサイドにAさんを巻き込む。(突然大きな数字を使うことをお詫びしますが、全宇宙には一千億の銀河系があると言われています。その想像もできない広さの中で、あなたは有難いことにAさんと地球上で物凄く低い確率のもと、出会えています)私はあなたが、第二案を選択なさることを強く願います。
話をすることが得意な人は、伝え方にも長けているため、相手に心を添わせるのがうまいです。念のため【話し上手になるスキル】を列挙します。
① アイコンタクトを取る
・「目は心の窓」(プラトンの名言)
② にこやかな表情で話す
・「話題」の先をもっと聞きたいと思わせる効果がある
③ ワンセンテンスは短く、情報は一つ………簡潔が一番分かり易い
④ 分かり易い言葉で、語尾までしっかり話す
・日本語はセンテンスの最後にならないと
肯定文か否定文かが分からない
⑤ 「間(ま)」を入れる
・脳は0.45秒の「間」で内容を理解する
・話す言葉に集中してもらうための「間」
これらの項目を徹底的にトレーニングすることで、相手への伝わり方は各段に上がります。
これに加えて「心配り」を入れた言葉のチョイスや、「抑揚」を加えると相手の心にしっかり届くコミュニケーションが取れます。毎日出会える訳ではありませんが、私は実際遭遇した学びを忘れてしまわないよう、
言われて嬉しかった事柄のメモをしています。今週は2件素敵な言葉と出会えました。
・1件目。少量や小さなものを宅配で送るとき便利なサービス「宅急便コンパクト」を友人に教えてもらい、コンビニに行きました。その時はカーボンタイプの封筒を買い求めました。今回はboxタイプをお願いしたら、店員の方がどこに保管してあるか分かりませんでした。たまたま私はその場所を覚えていたので思わず、「以前お世話になった方は、あちらの棚の下からお出しになっていましたよ。あら、突然指で指してしまってごめんなさい。急に驚いたでしょう、ごめんなさい」と言いました。目の前の女子大生風の方はニコッとしながら「いいえ、場所を覚えていてくださって嬉しいです!」とすぐに言葉を返してくれました。私はそのワンセンテンスが鼓膜に嬉しいごちそうのように感じ、心の中で(コンビニの利用はこれからずっとここにしよう)と思いました。
・2件目。私が通っている整形外科は院内でお薬を扱っています。支払い窓口とお薬の窓口は隣りあっています。支払いを済ませたとき、薬剤師さんから名前を呼ばれました。シップを受け取っていると、支払い窓口の女性から突然「あのー、領収書と診察券のお渡しを忘れておりました。申し訳ございません。」とお声をかけられました。瞬間私は「?」となりました。何故なら私は目の隅で、彼女が用意してくれた領収書と診察券を、シップを頂く前にキャッチしていたからです。私は彼女が「領収書と診察券をお忘れです」とおっしゃらず、自分が忘れたという言葉のチョイスをなさった『心配り』がとても嬉しかったです。
ごく普通の日常の中にも、コミュニケーション力のある会話を集めて学ぶことは可能です。メモが習慣になると、今まで聞き流してしまったかも知れない会話も耳に入ってきます。それらのストックを続けていると、自分発信の「言葉のごちそう」が湧いてくるようになります。今度は苦手なAさんへあなたからプレゼントなさる番です。
ただ、どうしてもまだAさんとうまくいかないという感じであれば、「あなたのコミュニケーション力アップ→苦手な相手を巻き込む」作戦は一旦中止しましょう。急ぐ必要はありません。会社に支障を来たさない範囲のマナーのやりとりに戻ってください。またAさんとのやり取り再開のチャンスは、あなたがコミュニケーション磨きを持続してさえいれば、必ずやってきます。
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