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第184回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方107『感謝の気持ちを上手に伝えるコミュニケーション』

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手


 また感謝の言葉を伝えるときは、通常の会話をするときより「抑揚」を意識します。人間の内面的な状態をいう言葉を感情語といいますが、感謝もその範疇に入りますので音声表現は丁寧にします。発音する一音一音の音程差で音の高低を付けると、一本調子の音声表現より相手の心に自分の気持ちを届け易いです。音声表現を上手になさると、前述してきた「ありがとうございます」や「感謝いたします」の前に具体的な言葉を添えるというようなことをしなくても「ありがとうございます」や「感謝いたします」だけでも気持ちを十分伝えられます。ただこれはハードルが高いですから、皆さんは安全策として言葉を添えた上で「抑揚」を加味していくのをお勧めいたします。

 例えば「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」でも二通りの音声表現が考えられます。一つ目は、「り」に自身の一番高い音程を使いその後は自然に坂道を下るようなラインをイメージして「あ・『り』・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」と抑揚を一山つけて言います。二つ目は、「ざ」の位置にも音程が二番目となるようなふた山目のラインをイメージして【あ・『り』・が・と・う・ご・「ざ」・い・ま・す】とマクドナルドの「エム」の形をやや意識して言うと「ざ」の前で止まらず滑らかに続けられます。後者の方がより丁寧さを伝えられるので、どちらの音声表現をするかは瞬時に現場の状況で判断しましょう。なお、同じ高さの音程で【あ・『り』・が・と・う・ご・『ざ』い・ま・す】と言ってしまうと抑揚が少しゴツゴツした印象になってしまいます。同じ言葉であっても、抑揚の山の数で相手に与える印象が変わることを自分の耳で納得してください。

 もう一点心がけていただきたいのは、相手からお気遣い・ご配慮・ご厚情などをいただいたときは、それらをしっかり感じられるアンテナを張れているビジネスパーソンであって欲しいです。せっかくの機会を自ら見逃してしまわないよう感性のアンテナは全方向にしっかり張っておきましょう。この点について私が皆さんにお勧めしているトレーニング方法は、出社のとき自宅から会社までの間に見聞きした楽しかったこと・嬉しかったことを五個、帰社するとき会社から自宅までの間で見聞きした朝感じた角度とは異なる楽しかったこと・嬉しかったことを五個メモしてください。

 なぜメモが必要かというと、一日計十個の内容は全部覚えきれません。一ヶ月続けられると約三百個、一年続けられたら約三千六百個の嬉しかったこと・楽しかったことがノートにたまります。半年ほど実行なさったある会社の男性社員のお話では、今日は自分がどんなことに気づくのか楽しみになり気持ちに負担なく続けられたこと、体調の悪い日は5個感じるのに時間がかかると気付いたこと、自分が以前よりポジティブになってきているなどの変化があったと教えてくださいました。同じことは書かないというのが少しきついと容易に想像できますが、だからこそ細やかに見聞きできる自分を育てます。是非皆さんもお試しになってください。

では最後に言葉の数を持つという意味で例文をいくつか示します。
・感謝いたしております・深謝いたします・拝謝いたします・とても有難いです・大変助かりました・誠にありがとうございます・感謝の念に堪えません・○○部長の貴重なアドバイスを頂いたおかげで、大役を無事に果たすことができました。ありがとう存じます
 皆さんも是非自社で使えるセンテンスを沢山お考えください。より良いコミュニケーションを築くチャンスが広がります。

 

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