おかげさまで、新しい書籍「社長・重役報酬の正しい決め方(日本経営合理化協会)」が5月25日に出版されました。
これまでにも「社長・役員報酬の決め方」と題する書籍はいくつもありましたが、そのほとんどが税務・会計の専門家が節税を中心に説いたものでした。
しかし、社長・重役報酬を正しく体系として捕らえるためには、税理の問題を含めて、確認しなければならない6つの急所があり、それらを時系列的に充実した調査と豊富な資料から正しく把握しなければなりません。
(1)世間水準とのバランス
(2)自社の業績をどう配慮するか
(3)従業員給与とのバランス
(4)社長以外の役員とのバランス
(5)報酬以外の収入への配慮
(6)節税
ところが、一般に入手できる役員報酬関連の調査資料はいずれも断片的にアンケート調査の結果を開示する程度であり、内容的にも十分とは言えません。これらの情報を独自に調査収集するためには、多くの手間と費用が必要であり、時系列として揃えることはさらに困難だったからです。
本来、社長・重役報酬の決め方を体系として提案できるのは、賃金人事の専門家以外にはないはずなのですが、信頼できる専門書が皆無に近かった理由にはそうした事情があり、加えて法令改正や規制強化など会社をとりまく環境変化が大きかったことも、体系化を難しくしたのだと思われます。
賃金管理研究所では社長・重役報酬の体系化を目的として、昭和48年から独自に、社長・重役の報酬・賞与についてのアンケート調査を継続して実施してきました。そうして賃金管理研究所が積み上げてきた貴重な時系列データを基礎として、昭和53年、初めて出版された本格的専門書が弥富賢之著「役員報酬の正しい決め方」(日本経営合理化協会・通産24版)でした。
その後も度重なる商法改正や会社法の制定、委員会設置会社の導入、ストックオプション導入や退職慰労金廃止、CEO/COO/COF等役位呼称のグローバル化等、多くの変化が続きました。賃金管理研究所では、変化に対応しつつ、時に応じて内容の充実を図りながらアンケートを継続し、平成22年には第25回目の実態調査レポートを発表いたしました。
今回出版された「社長・重役報酬の正しい決め方」では、これらの貴重な実態調査をベースに、近年の経営環境の変化を踏まえて、わが国の「役員報酬のあるべき姿」を提案しています。
賃金管理研究所に脈々と引き継がれている精鋭組織づくり、賃金・報酬に対するフィロソフィーを基礎に役員報酬を体系として捉え、具体的に解説した、唯一無比の実務書です