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人事・労務

第68話 職制構造から責任等級を定める

「賃金の誤解」

謹賀新年 今年もよろしくお願い申し上げます。(2015年1月7日)
 
 中堅、中小企業にとって、今年は長期繁栄の好循環を実現する組織固めの年ではないでしょうか。
 
 企業はいくつもの仕事(職種)の有機的集合体であり、組織とはそれぞれの職種を単位に組まれた仕事のグループです。違う職種を束ねるそれぞれの部には課があり、係へと細分化されています。つまり、職種を超えた仕事の共通要素とは、社長から始まる「ワンマンワンボス」の職制構造であり、このために必要な階層を厳密に考えれば最適かつ不可欠な責任区分が見えてきます。
 
 ちなみに「職制」とは社長から始まる指揮命令が現場第一線まで速やかに、かつ正確に伝わるための総体構成の事であり、第一線からの結果の報告が、この職制をさかのぼり、一刻も早く社長にもどり、次の戦略に活かされなければなりません。
 
 従業員200名前後の会社で「仕事の難易度・責任の重さ」から無駄のない組織階層数を検討すれば、以下のように等級区分し、表現することが可能です。
 
   I等級 責任の軽い定型的、補助的な仕事
   II等級 担当者として常識的判断を伴う仕事
   III等級 実務にかなりの専門判断を必要とする仕事
   IV等級 チームをまとめ、課題を遂行する責任ある仕事
   V等級 戦術を立て、業務単位の管理責任を負う仕事
   VI等級 会社方針を理解し部門の最終責任を負う仕事
 
 加えて、それぞれの等級に求められる役割(成果)責任と世間水準を考慮すれば、以下のように基本給相当額(大都市水準)をシンプルに仮設定することは可能です。
 
   I等級 150,000円     IV等級 270,000円
   II等級 180,000円     V等級 350,000円
   III等級 220,000円    VI等級 440,000円
 
 もし、同じ等級責任の仕事を社員のだれが担当しても、上記どおり同じ給料と決めれば、それはシングルレートの職務給と呼ばれるものとなり、制度と定めれば、同一労働同一賃金となります。
 
 社長や人事担当長をずっと悩ませてきた、年齢も、勤続も、学歴も一切関係ないものとなります。単に「効率」と割り切れば大変分かりやすい給与の決め方です。
 
 しかし、このようなシングルレートの職務給を合理的と考え、制度として導入した時、社員の納得が得られるものでしょうか。それは現実には無理な話です。
 
 なぜなら、同じ等級で同じ責任の仕事を任されている社員が複数いたとして、その等級レベルで評価した時、ぎりぎり合格の成果しかあげられない社員から、上位等級レベルの仕事と変わらない働きを高く評価される優秀社員まで含まれているからです。
 
 それらの社員を十把一からげの扱いでは、同じ等級内に生ずる悪平等、不協和音を排除することはできません。それでは高い成果を上げて、企業業績に貢献した優秀社員ほど向上心を無くしてしまいます。
 
 このような欠陥を解決し、総和としての仕事力を高めるために開発された制度こそ賃金管理研究所が提唱する「責任等級」を柱とする「賃金・人事制度」であり、「職制準拠の職能給体系」なのです。

 

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