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第19回 テレビCMの利用価値を再認識させる効果「トリドール」

深読み企業分析

丸亀製麺を展開するトリドールが行ったテレビCMが爆発的な売上へのインパクトを与えている。

同社が昨年、テレビの全国放送のCMで宣伝した季節限定商品が大ヒットした。8月の第1弾が「肉盛りうどん」で、10月の第2弾が「タル鶏天ぶっかけうどん」である。両商品ともCMにタレントの武井壮を起用したものである。

これが、どれだけすごいかは、月次データから読み取ることができる。丸亀製麺の既存店の前年同月比は、2012年度以降、わずかにプラスになる月はあってもほとんどマイナスで推移していたが8月に15.7%増、9月も9.7%増と目を見張る伸びを示している。

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同社のように単品でのCMが会社全体にこれほど大きなインパクトを短期的に与えたケースは、あまり記憶にないので、他の事例との比較は難しい。しかし、かなりのレアケースなのではないかと思われる。

簡単に業績へのインパクトを計算してみると、同社の1か月の売上は平均65億円程度であり、2か月間の平均伸び率を13%として、この分が丸々CM効果とすれば、約17億円の売上増となる。限界利益率を50%とすると、利益への貢献は8.5億円となる。

同社では丸1か月間全国を放送を行っており、数億円のコストがかかったと考えられるが、それを差し引いても優に2カ月で4-5億円の利益貢献があったと考えられる。

ただし、それまでの既存店売上高の伸びは5%減ほどであるので、実際のCMのインパクトを18%と考えることもできるので、この計算は最低限の数値となる。その結果、8月、9月の2か月間の業績が反映した第2四半期の営業利益は前年同期比90%増となった。

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《有賀の眼》

テレビCMの費用は高額であるから、そのCM効果は専門的に分析されており、巨額な広告費を投入する企業はそれなりの計算に基づいて、CMを投入していると考えられる。特に消費財メーカーであるビール、飲料、自動車、家電、化粧品などのトップメーカーは、そのような根拠により、年間の広告費投入のトップを競っているのであろう。

もちろん、それだけの費用を投入するのであるから、その費用に対する十分な費用対効果の根拠が背景にあろう。それゆえ、あまり予期せぬことが起こることもないと考えられる。

一方で、あまりCMを使ったことのない企業や業種の場合、それだけの冒険をして使ってみて、その効果に驚くということは大いに考えられることである。

今回の場合で考えると、外食産業が必ずしもテレビCMを投入していない業界というわけではない。マクドナルドやモスバーガーなどのハンバーガーや牛丼屋などもCMを目にすることが多い。

同社の場合、当初はたまたま商品が当たっただけという見方もあった。しかし、第2弾の「タル鶏天ぶっかけうどん」もほぼ「肉盛りうどん」と同水準のインパクトを与えた。そのことからも、そこにはいまだ誰も気づかなかったような大きなCM効果の必然性があった可能性があろう。

テレビCMを見ていて思うことは、かつては全く見ることがなかった業界、商品、サービスのCMをいつの間にか頻繁に目にするようになることがある。もちろん、それまで世の中になかったような業界、商品、サービスは別である。

そんな代表の一つが、音楽ではないかと思われる。かつては流行歌のテレビCMが流れることはなかったが、現代では当然のように多くの新曲のCMを目にする。これは、それまで音楽のテレビCM効果に気付いている人がいなかったが、実は誰かがやってみたら極めて効果的であったということではないかと考えられる。

その意味で、同社の今回の成功は、これまでテレビCMを利用していなかった商品、サービスに対しても大きなヒントとなるのではないかと思われる。

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