ヒットを飛ばすことは経営者であれば誰でも願うところだ。
しかし、なかなか狙ってできるものではない。また、どんなに良いものでも、火がつくまで時間がかかるし、結果をすぐに求められる今は特に難しい。
そんな中、ベイブレードの人気が再燃している。子供の遊びとはいえ、2001年~02年にかけ全国的に人気がでて1500万個とも2000万個とも言われるほどの大流行を記録し、全国大会まで開催された。
そのベイブレードが進化し今年、またブームを起こしている。不思議なことに子供だけでなく改良パーツを含め親が大人買いまでしているようだ。
この夏、お台場の実物大ガンダムを見に行った人も多いと思う。400万人を超える入場者数を記録し予想をはるかに超えて集客した。最初にアニメが放映されて30年になるが人気キャラクターとしての力は衰えない。
過去のヒット商品を改良したり、バージョンアップ、レベルアップするとヒットの確率は格段に上がる。ましてや、ベイブレードは、江戸の昔からあるベエゴマの現代版だ。
紐でベエゴマを上手に廻すのはなかなか難しいから、現代用に道具で誰でも廻るように工夫したり、マンガでタイアップ企画を用意したり、相当な創造性を必要とする。
ただリバイバルでヒットするほど甘くはない。
先週、仕事で岩手県の一関市に伺った。
知る人ぞ知る「もちの里」である。江戸時代より年中行事や季節の区切りに必ずといっていいほど餅料理が作られるところである。また、祝儀、不祝儀でも「もち本膳料理」を供すなど、この地方独特の文化が残っていた。各家庭で伝統の料理の仕方があり一説には300種以上あるとも言われている。
その「もち本膳料理」を、見た目にも美しく、食べやすいサイズに工夫したのが、駅前にある「三彩館ふじせい」の奥様である。
平成3年のことだったそうだ。一口サイズのもち料理8種とお雑煮椀の計9種類でコースとなっており「ひと口もち膳」としてお店で出したところ大評判となり、現在では県外からも多くの方が来店されるようになっている。
最初はまったく自信がなく、膳も10セットしか用意しなかったと言っておられた。
行政もやっと腰をあげ平成20年に、「一関・平泉もち街道」として取り組みが始まった。
平泉金色堂や毛越寺など、観光資源に恵まれているだけに、1000円高速の効果もあって、まだまだ伸びるだろう。
これだって、江戸時代からつづく商品を、現代風にアレンジし地元の名物として育てている。
人間は思ったより保守的にできているが、飽きやすく新しいものにも飛びつく厄介な性格をしている。故に、過去のヒット商品や伝統を現代風に、また、誰でも使いやすく楽しみやすいように工夫する創造性のさじ加減が難しい。出来てしまえば「何~んだ!俺も考えていたんだよ」となる。
そこがクリエイターの腕の見せ所であり、経営の妙である。