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製造業

第271号 間隔のあく仕事には、「思い出アルバム」をつくれ

柿内幸夫─社長のための現場改善

 皆さん、こんにちは。今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実例を挙げて解説します。

【急所35】間隔のあく仕事には、「思い出アルバム」をつくれ。(88頁)
 
 11月も半ばになりました。ということはもうすぐ師走で、クリスマスで、大晦日で、そして新年!と、とても慌ただしい季節に入ったといえるでしょう。
 
 私も個人的にはそろそろ、忘年会の日程が決まり始めたり、年賀状の絵を考え始めたりと、毎年のことですが気持ちが高まってきています。
 
 会社も同様に、徐々にせわしくなっていくのかなと思いますが、その中でも特に忙しい日々を過ごす業界として、食品業界があげられると思います。何しろお歳暮がありますから。
 
 食品業界では、お歳暮の時期は、普段の製品の製造はそのままで、プラスアルファでお歳暮品の生産が増えますので、当然ですが突然に忙しくなります。
 
 前もって生産して在庫しておければいいのですが、食品は腐るしカビますからそれもできません。
 
 しかし私は、それでもギフト商品は通常の商品より値段が高いですから相当儲かるだろうと思っていましたが、意外とそうでもない会社も多いと聞きました。
 
 理由を聞くと、突然に生産が増えたので、急きょ検討不十分なままに、使いにくい生産ラインを敷いてしまった。
 
 そこに不慣れなアルバイトの人が作業者として入って来て…といったバタバタ状態のまま生産が始まってしまったため、生産性が上がらず残業が増え、不良が多発してということがしばしば起きたようです。
 
 そして残念なことに、ようやく慣れてきたころには生産が終了してしまうので、毎年忙しい思いをする割にはちっとも儲からないという会社が出てしまうのです。
 
 日本には冬のお歳暮だけではなく、夏にはお中元があります。すなわち、このような忙しさはいつも半年毎に訪れるということになります。
 
 しかし現場でそのことについて話をすると、半年ごとに「繰り返している」という感じではなく、毎回「突然に忙しくなる」というようなとらえ方がされているように感じます。
 
 すなわち、毎回バタバタして忙しい思いをした割には儲かりませんでした…ということを繰り返しているということです。これって、何かもったいないと思いませんか?
 
 そこで今回のテーマの、「思い出アルバム」です。
 
 T社は、前回のお中元時に作った臨時の生産ラインのレイアウトや人員配置、そしてその時に仕事をした人たちの名前など、大切と思われることをすべて記録に残しました。
 
 写真が多いので、ビジュアルでとても分かり易いです。記録の中には、途中で起きた問題とその解決のやり方、うまく行ったので次回のお歳暮にもぜひ実行したいこと、あるいは途中で思いついたけれど時間切れで実行できなかった改善のアイデアなどが、すべてアルバムの形で記録されています。
 
 そして、今回のお歳暮を始める時に、前回のお中元の時に作った「思い出アルバム」を出してきて、みんなで見ました。
 
 わずか半年前のことといいながら、かなり忘れてしまっていて、もう昔のことのようになっていました。「ああ、こうだったね、毎日暑かったよね~」から始まった会話ですが、ページを進めるに従い、皆さんの会話が真剣な仕事モードに変わっていきました。
 
 これまでだと、毎回全く初めてのような感じで半年ごとのイベントをこなしていました。せっかくいろいろな経験をしているのに半年経つと記憶が消えてしまうのです。
 
 しかしこの思い出アルバムを見ることによって、当時の記憶が一瞬でよみがえり、前回の活動の一番調子が上がった最終日のレベルから、今回のイベントを引き継げるようになりました。
 
 T社ではお歳暮品の生産は今が真っ盛りですが、これまでのお歳暮品の生産とは比べものにならない、すごくいい感じでの生産ができているということを聞きました。
 
 この考え方は、なにも食品業界に限りません。少し間があいても繰り返しであるという認識を持てるものであれば、すべてに活用して頂きたいと思います。
 
 
 
 

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copyright ゆきち先生 http://yukichisensei.com/

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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