賃金管理研究所 所長 弥富拓海
第54話で伊藤忠商事株式会社が業務遂行の一層の効率化の観点から2013年10月より2014年3月まで朝型勤務のトライアル実施を開始したことを紹介しました。
このトライアルが目論みどおり、効率的な働き方で「労働時間が減り、会社が支払う残業代も7%減った」ことを受け、2014年4月21日伊藤忠商事は伊藤忠商事労働組合との労使合意に基づき、2014年5月1日より朝型勤務制度を正式に導入することを発表しました。今回の第62話では、その発表資料からその内容を忠実にお伝えしたいと思います。
「正式導入にあたり、この取組の趣旨は、残業ありきの働き方を今一度見直し、所定勤務時間帯(9:00-17:15)での勤務を基本とした上で夜型の残業体質から朝型勤務へと体質を改め、効率的な働き方の実践を通して、総労働時間の削減を図るものです。更にこの取組が、一層の業務効率化や社員の健康の保持・増進に繋がるだけでなく、女性社員の活躍支援や社員の仕事と家庭の両立支援にも繋がるものと考えています。さらに今後の方針として、本取組を通した効率的な「働き方」の更なる意識改革を推進します。」と発表し、詳細について以下のように説明しています。
(1) 深夜勤務(22:00-5:00)の「禁止」、20:00-22:00勤務の「原則禁止」。
但し、やむを得ず20:00以降勤務が必要な場合は事前申請の上で認める。
(2) 早朝勤務時間(5:00-8:00)は、深夜勤務と同様の割増し賃金
(時間管理対象者:150%/時間管理対象外:25%)を支給する。
なお7:50以前始業の場合、5:00-8:00の割増率を8:00-9:00にも適用する。
(3) 健康管理の観点から8:00前始業社員に対し、軽食を支給する。
そして最後に、「効率的な働き方を実現していくためには、何よりも社員一人ひとりの働き方に対する意識改革と併せて業務改革をバランスよく推進していく事が重要です。会社業績が好調である時こそ、より一層気を引き締めて業務の効率化を図り、常にお客様視点で対応できるよう、更なる社員の働き方に対する意識改革を推進していく所存です。と企業の意思を強く示していました。