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マネジメント

第112回 『秘書まかせの落とし穴』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

補助的な仕事や雑務をほとんど肩代わりしてもらえるので、本来の仕事に集中できる。
個室だから、一人でゆっくりと考えられる。

・・・秘書、個室つき役員のメリットをあげると、こんなところが思い浮かぶ。

慣れてしまえばそういう実感も薄まるが、そのポジションについた当初は、ある種の昂ぶりというか、
優越感をくすぐられるというのは、偽らざる心境である。
 
とにかく、個室や秘書つきというのは、会社員にとって安住の地であることは間違いあるまい。
 
 
だが、その安住の地にも落とし穴が待ち受けていることを、心すべきである。
 
たとえば、近く外遊することになり、訪問先である欧州の景況などについて
秘書を通じて部下にレポートを作成させたとする。
だが、提出されてきた資料が、満足できるものではなかった。
 
こういった場合には、再び、秘書を通して再作成を命ずることになるが、
心配りをしないと、思わぬケガをしてしまうので注意したい。
 
「こんなレポートじゃダメだ。もう一回書き直すように言ってこい!」
 
怒髪天を衝くがごとく秘書に命令したとしたら、
秘書もレポート作成者に、直接このように言う危険性が高い。
 
「すごく社長が怒ってる。とにかく、すぐ作り直してちょうだい!」
 
一方、そのように怒鳴られた社員の方はどうか。
秘書にさえ平伏するに違いない。
 
レポートの成否が自分の出世に大きく影響する、と考えているかどうかは別にして、
それがビジネスマンというものだ。
 
 
そもそも、秘書とあなたは一体と見なされるものである。
裏を返せば、「申し訳ありません、すぐに作り直します」と頭を下げる社員を前に、
秘書も役員と同じ権力の座にあると錯覚しても不思議ではない。
 
秘書も自分自身が力を持っていると、思い上がるかもしれない。
 
 
もとより秘書は権力を持っているものではない。
レポート作成を命じられた社員より若いということもありえる。
 
そうすると、秘書も会社の中で微妙な立場に立たされることになる。
「あの秘書は、役員の力を笠に威張り散らして・・・」
といった具合にもならないともかぎらない。
 
結果、個室にいることによって、
それでなくとも下からの情報が入りづらくなっているのに、
秘書を通しても正しい情報が入ってこなくなる。
 
個室から出て部下と話す機会を持とうと努めるタイプならいいが、
それを億劫がる腰の重い役員なら、
たちまちにしてコミュニケーションが断絶、組織から遊離してしまうはずである。
 
何もかも秘書まかせにしていたため、
パソコンやスマホも扱えない、ファックスも携帯メールも送れないということになり、
後継者に譲ったあとで、
「どんな仕事ができますか?」と問われて、
「役員の仕事ができます」としか、答えられないとも限らない。
 
 
秘書の存在そのものはありがたいのだが、仕事のやらせ方を誤ると、
こうしたマイナスの面も持っていることを、自覚していたいものだ。
 

 

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