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マネジメント

第56回 『異見も意見』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

今から45年も前、時の総理大臣である佐藤栄作氏が、ニクソン大統領と繊維交渉を行った。
後になって、ニクソン大統領は「ウソをつかれた(騙された)」と、佐藤首相に対して不満を漏らした。


これは、どうして起こったのだろう。私なりに考えてみた。

一般的に、日本人は「ノー」と言うのが不得意である。
「考えておきます」「前向きに 善処します」という日本語を正直に翻訳 すれば何のことはない、
「そのことには興味がない」ということなのだ。

外国人のStraight Talk に対して、日本人は婉曲話法(Euphemism)を好む。
それを酌まずに、「ノー」を意味する日本的表現を直訳してしまい

 “I will think about it positively”とか、
 “I will deal with the matter in a positive way”
となると、相手は「イエス」の希望を持ちやすいのである。そして後になって「あの日本人はウソを言った」ということになる。

あくまで憶測だが、佐藤首相とニクソン大統領の場合も、これに似たことがあったのではないかと想像するのである。


日本では、とかく相手の立場が上だとか、社歴が長いとか、年齢が上だとか言うと、
意見の相違をそこはかとなく解決しようとする傾向が強い。少なくとも、表面上の現れとしては『和の文化』を持つからだろう。

ところが、私がサンフランシスコで働いていた間、良かれ悪しかれ小気味よかったのは、
私の投げかけた質問に対して、たいてい の場合は、「イエス」か「ノー」かの返事がその場で返ってきた点だ。


もちろん、「ノー」の場合には、それなりに表現には気を遣って…。


複雑なビジネスを遂行するうえで、白か黒かでは片づけられない灰色の部分が多くあるのではないか、
と考えられる向きもあろう。

その通り、灰色の方がビジネスの世界では多いかもしれない。
その時、「灰色なら灰色なりに、灰色である」ことを、ハッキリ相手に伝える必要がある、とい うことなのだ。

古来「ものいわざるは、はらふくるるわざなり」という。
相手が外国人のときはもちろん、日本での会議の時でも「異見は異見と して言いたいし、聴きたい」ものである。

それには、異見を受け止めるための土壌が培われなくてはならない。
日本人はウエットであるから、反対意見など堂々と弁じ立てようものなら、逆恨みされかねない。

上に立つ者が、この点を充分考慮し、「自分もオールマイティーなのではない」あるいは「間違っているかもしれない」
という謙虚さを持ち、もし自分が誤っていればすぐに直すといったフェアーで柔軟な態度をとらないと、下の者は
身の危険を感じたり、すっかりシラケたりして、意見を 言わなくなってしまう。


職場の活性化もモラール・アップもあったものではない。

逆に、組織の中で違う意見を言う時に、気をつけなければいけないことがある。
先ず、ひとつの事柄に対して「反対」は3回まで。3回反対して自分とは異なる決定になっても、その決定には潔く従うこと。

第二に、自分と100%反対の決定であっても、
従う時には、あたかも自分の決定であるがごとく積極的に従うことが肝要であ る。

実際のところ、これができるのは100人中で1人か2人しかいないのが現実だろうが、
これが人間としての価値が一流か、二・三流なのかの分かれ目ともいえる。


この2つの原則は、なぜ大切か。

これが守れないと、組織と秩序の混乱・崩壊を招き、
せっかくの「異見を大切にする」土壌の本当の意味さえ消えてしまうからであ る。

日本人にはなかなか実行しにくいことだろうが、
「異見を大切」にし、「異見を奨励」する雰囲気を、ビジネスの世界で横行させたいものである。



新 将命     

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