【急所82】についての4回目のお話になりますが、今回で最後です。
F社の事例をご紹介します。F社では、この「物を捨てる」と「空間をつくる」の二つを徹底して行いました。これまでも整理・整頓はしっかりやってきたつもりでしたが、もともと作業場が狭い上に、このところ仕事が増えて来ており、工場内にモノがあふれ始めていたのです。
例えば、下の写真は改善前の食堂です。食堂なのに部品棚があるし、作業もするのでテーブルの上に部品も置いてあり、とても食堂には見えません。
しかしお客様は待っているし、置き場所も作業場所もないのだからしょうがないと、F社の皆さんは思い込んでいました。食事の場所が足りないので、お昼をみんなで一緒に取ることはできませんでした。
ところが、専務のSさんやマネジャーのHさんはあることに気が付きました。
忙しいからしょうがないといって納得している気になっているけれど、果たしてこのまま行っていいんだろうか?
F社は人を大切にすることをスローガンに掲げているが、この状態で人を大切にしているとはとても言えないではないか!
だけど、場所ないし…。 でもこれからはできない理由を言うのはやめて、やる方法を考えよう!!
そこで改めてKZ法を実行して、会社内のすべてのモノを見直して、たくさんの使わないモノを捨てました。
もちろん、これで多くの場所が空きました。とはいえ、食堂をすっかり空けるにはまだ足りませんでした。しかし、モノを捨てたのでチエが出てきました。
たとえば、「作業机は製品が大きいので、今の幅は必要だけれど、奥行きはこんなにいらないのではないか?」…「それはそうだ!」 ということで即実行したのが、下の写真です。
そして、切り取った切れ端が、なんと机二つ分にもなりました(下の写真)。
その結果、求めていた面積が空いて、仕事場化していた食道は見事に本来の食堂に変身しました。
そして、空間を作るとアイデアが生まれます。F社では、皆さんのアイデアを募って、この食堂でいろいろなイベントを行っていこうと考えておられるようです。
これまでは場所がないのでお昼はそれぞれバラバラに取っていましたが、これでみんなが揃ってお昼を食べられるようになったのですから、ワイワイガヤガヤといろいろなアイデアが生まれることでしょう。
私はここから生まれるに違いない新しいことに大きな期待を持っています。
5年後に訪れる大きな変化に対する準備もここから生まれるアイデアが大いに役立つことでしょう。