「最強のモノづくり」の6段階のレベルを書きました。レベル1の「工程内の流れ」からレベル6の「一気通貫の流れ」まですべて流れのレベルで評価されるしくみです。
さて先回はレベル3についてご説明しましたが、今回はレベル4についてお話しいたします。レベル3では工場内に流れを持ち込みました。そして次のレベル4では、それを工場間でも実現することになります。
レベル1からレベル3までは一つの工場内での流れの改善でしたから、比較的容易にモノの流れを見ることができる条件での改善でした。しかし、レベル4からは建屋が別な工場の間の流れということになります。突然見えない部分が増えることになります。
具体的には、自社内に部品工場と組立工場が別々にあった場合はその2つの工場の間の流れを、あるいは自工場と協力工場の2工場の間の流れをといった流れを「レベル4 工場間の流れ」といいます。
工場の対象をもう少し広げて、材料メーカーから材料を買うという普通の仕事も自社と材料メーカーとの工場間の流れと考えて、もっと在庫を減らして一切の材料の停滞がない状態を作ろうということも、このレベル4になると思います。
レベル4は離れたところにある二つの場所に流れを導入するので、これまでのように工場内の前後の工程の人たちが気楽に集まって、ワイワイと計画について話し合うといったことや、一緒に在庫の様子を見ることはなかなかできません。
私は最近、指導先で整理整頓を実行する機会が増えています。理由はどの会社も将来を考えて顧客開発をする過程で、そのための場所が不足するということが分かってきたからです。
そして実行すると、後工程の工場に前工程の工場から来たモノがわんさとたまって溢れかえっていることがとても多いのです。前工程からの納入が不足するとすぐに追加要求がされるけれど、余ってしまった場合はそのままそこに残されるからです。
ちょうど1週間前に、T社にて整理整頓をやりました。ここでも やはり後工程にものすごい量のモノが溜まっていました。しかし、この時はあっという間にこの問題を解決することができました。
理由は、T社ではこの整理整頓を後工程の工場の人だけでやったのではなく、社長や設計、営業、技術、管理、そして前工程の工場の人たちも入るオールスターキャストでやったからです。
みんなでやって、まず最初に驚いたのは前工程の人たちです。いつも前工程の遅れが原因で後工程が困っているとせっつかれていたので、後工程はスカスカだろうと思っていたのに、自分たちが作ったモノで溢れ返っていたからです。
それだけではありません。設計は溢れかえったモノの山を見ているうちに、前からやれと言われ続けていながらも後回しにしていた部品の設計変更による統合を、そろそろちゃんとやらなければならないと初めて本気で思いました。
生産管理は切れたら大変と対処してきたけれど、余ることには一切注意を払っていなかったことに気づき反省しました。
営業は自分たちの取った注文情報が後工程には伝わっているが、前工程には行っていないことを発見して、情報提供が不十分であったことに気づきました。
そして社長が全員の前で、これまでのやり方がそれぞれの人の頑張りが一つになっていないバラバラな状態であったと宣言し、レベル4への挑戦を宣言してくださいました。
全員が一つの大きな問題を一緒に見て、どう協力しようかを決めて動けば結果はすぐ出ます。T社では受発注計画を前後工程の両方が受け取ることになりました。
また毎日の生産の振り返りと、明日の生産のやり方を議論するテレビ会議(パソコン会議?)を開くことになりました。そしてモノの移動は後工程引取りの形の導入を決めました。
レベル4のイメージが伝わったでしょうか? 見えない相手を意識するのは簡単ではないと思いますが、そのレベルはどうなっているか? 早速現場で確認していただきたいと思います。