イノベーションを生み出す秘訣
アマゾンではよく、「Be peculiar(変わり者になれ)」と言われているそうですが、なぜ変わり者が推奨されるのでしょうか?
社内では、2014年ぐらいから「Be peculiar(変わり者になれ)」と言われ始めました。2014年というのは、アマゾンの成長段階が変わり始めた頃です。つまり、アマゾンが非常に大きな企業になっていった段階です。
事業が大きくなっていくと、徐々に仕事が細分化され、個人が担当する業務範疇がどんどん狭まってきます。それを単なる仕組みで動かそうとしているとき、創業時代に起きていたようなイノベーションが、起きにくい環境になってきてしまいました。
経営陣はそれ危惧して、「奇抜な発想や新しい商品づくりができるような人は、どういう人だろう」と考えました。そのとき、「外から見るとちょっと変わり者だね」と言われるような人が結果を出していることに気づいた訳です。そのため、「アマゾンの社員は変わり者であってほしい」という考え方があるのです。
アマゾンではどのようにして「変わり者」をつくっているのでしょうか?
「あなたが変わり者かどうかテストします」と言われます。10問ぐらい答えて、正しい選択できないと「peculiar(変わり者)」になれないわけです。そのような取り組みの中で、文化が段々と形づくられていくのです。きちんと啓蒙していくみたいなこともやっていました。
根本にあるのは「イノベーションとか起こす」という精神です。
社員の行動や言動に敏感になる
経営者心がけておくことは、他にもありますか?
社員が「この会社できちんと仕事をしていこう」という気持ちになっているか、その気持ちを持たせ続けられているか、を観察することは大切だと思います。
社員がやる気が出ていることをはかる兆候は、たくさんあります。例えば、車を買いましたとか、結婚しましたとか、家を買いましたとか、子供ができましたとか。要するに、生活をこれから継続していこうという行動が出始めることは、その社員がその会社で働くことを良しとしていて、長く勤務していきたいと思うから、ローンとかそういうのも享受できるかなと考えているわけです。
経営者はそういうところに敏感であるべきだと思いますし、ただただ数字を見て上手くいっている、いっていない、と判断するのではなく、その社員たちがどのような行動をとってるのかというところも、目を向けてほしい点です。例えば、月に1回、ある社員を選んで昼食会をして、そこでいろいろと世間話でもいいから話をする中で、そういう情報に耳をそばだてて聞いてみるとか、様々なやり方があると思います。
社員の行動や言動に敏感になることは、経営者にとってはすごく重要です。そのために「仕組みを作る」ことは、ぜひ取り入れていただきたいと思います。仕組みがないと経営は安定しません。ばらつきが起きると、外からの環境変化なのか、内部からのばらつきなのか、わからなくなってしまいます。
最後に、社長へメッセージをお願いします。
経営で一番意識してほしいことは、「変化をつけていくこと」だと思います。経営環境はますます厳しくなる一方で、日本が国際的に置かれてる状況も厳しくなっています。その中で事業を維持していくことは本当に大変なことです。
常にチャレンジして、変化に対応していかなければなりません。変化するときには、必ず抵抗勢力が出てきます。その抵抗勢力に、自らはならないでいただきたい。
変化を起こすことに対して、一番最初抵抗する人たちは、現場であったりとか、その今のやり方を変えると、何かややこしいことが起きるなと思う人から最初に抵抗してくると思います。
厳しい環境の中で、日々の業務、日々の経営をやられてる経営者の皆様は、「そんなの言われなくてもわかってるよ」と思われるかもしれません。しかし、その変化というものに対応できる企業とできない企業とでは、最終的な明暗が大きく分かれてきます。
ジェフ・ベゾスも、「アマゾンという会社ですら30年で潰れたっておかしくないよ」と言っています。私もそういう昨今だと思っています。そのような中、変化を助長するような存在であっていただきたいと思います。
ビジネス見聞録WEB10月号 目次
・p1 収録の現場から〈原邦雄「人と組織を伸ばすほめ育マネジメント」音声講座〉〉
・p2 講師インタビュー 佐藤将之「アマゾンに学ぶ!成長し続ける組織のつくり方」
・p3 今月のビジネスキーワード「ChatGPT」
・p4 令和女子の消費とトレンド「ニューレトロなヴィンテージ古着ブーム」
・p5 展示会の見せ方・次の見どころ
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