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ビジネス見聞録

「展示会の見せ方・次の見どころ」(2025年8月)

ビジネス見聞録 経営ニュース

展示会出展コンセプトを展示会だけで終わらせるのはもったいない

 展示会営業®コンサルタントの清永健一です。

 前々回と前回のコラムで、成果を出す展示会出展の土台になる「出展コンセプト」のつくり方について、実例を交えてお伝えしましたので、出展コンセプト作成手順をご理解いただけたと思います。あなたも、出展コンセプト検討シートを活用して、1ブース=1アイテム=1ターゲットの出展コンセプトを練り上げていってほしいと思います。

 そして、出展コンセプトが完成したら、展示会プロジェクトチームのメンバーで、ぜひやってみてほしいことがあるのです。

 それは、作成した出展コンセプトの方向性で、今後、毎年20年間出展し続けたとしたら、自社が20年後どんな会社になっているかという「20年ビジョン」を社長を含めたプロジェクトメンバー全員で自由に話し合う、ということです。

 「なんで20年なの?長すぎない?」

 あなたは、そう思ったかもしれません。20年後の未来を考えるのには理由があります。それは、現在の制約条件から一旦離れて、自由な発想で、できるだけ大きな明るい未来を描いてほしいからなのです。現状を考えると、

・人が足りない
・投資できる資金がない
・人脈がない
・強力なライバルがいる

などなど、さまざまな弱みや脅威があるかもしれません。

 でも、20年あれば、こうした弱みや脅威を克服することができるのではないでしょうか?

 あなたは、Airbnb(エアビービー)社をご存知だと思います。そうです。あの民泊のAirbnbです。Airbnb社は全世界で5,000万人以上のホストと7,700件以上の物件を持ち、150億人以上のゲストが利用しています。時価総額は約860億ドルに達し、旅行業界での影響力を強めています。

 では、あなたは、いつ、Airbnb社が創業したか、ご存じでしょうか?Airbnb社の創業は2007年です。そうです。Airbnb社は創業してから、まだ20年経っていないのです。ゼロから創業し、20年足らずで世界的大企業になったのですから、今、すでに企業として存在しているあなたの会社なら、もっとすごいことになっていてもおかしくないですね。

 このように、現状の制約から離れて、大きく未来を描いてほしいのです。

 20年後には、AIが人間の知能を超えるシンギュラリティが到来していたり、ゲノム編集技術が実用化されたりと、さまざまなテクノロジーの発達があるでしょうね。

 でも、ここではそういったテクノロジーや環境の変化を考慮しすぎなくてもよいのです。「20年ビジョン」は、細かく考えて正確なものをつくるのではなく、広い視野で大きく考えて議論しながら、自社の明るい未来を描いてみてほしいのです。

 そうすると、「20年ビジョン」を自分事として考える人が出てくるはずです。

 たとえば、前回のコラムでご紹介した清掃業のオーアンドケーなら、次のように考える人が出てくるかもしれません。

 「20年もの長い間、介護施設向けの展示会に出展し続けたら、介護施設のお客さんがかなり増えるだろうなぁ。そのころには、うちの会社は多分、介護施設からものすごく頼りにされてるんじゃないかな。そうしたら清掃してノロウイルスの発生を防ぐだけじゃもの足りないかもしれないぞ。介護施設の入所者さんやヘルパーさんたちがイキイキと暮らすことをサポートする会社になっているかもしれない。ということは、清掃だけじゃなくて、健康に関する知識とかノウハウを身に付けるといいかもしれない。20年後、ぼくは、(わたしは)〇歳か。よし、健康運動指導士の勉強でも始めようかな」

 このように、20年後の自社に前向きに思いを馳せ、そこで活躍することを願い、自分自身で自分の能力開発目標を見出す社員さんが増えれば、その会社の未来は明るいはずです。

 20年ビジョンについて議論することで、メンバー同士の相互理解が深まることもあるでしょう。

 「20年ビジョン」ミーティングは、本来、展示会に出展するかしないかに関係なく、取り組むべきことなのですが、やらなければ、現在の業務が進まなくなるようなものではないので、後回しにされてしまいがちです。だからこそ、展示会出展を機に、出展コンセプトを検討するタイミングで、考えてみてほしいのです。

 あなたの会社も、出展コンセプトの検討を展示会のためだけのものにせず、「20年ビジョン」を議論するきっかけにしてほしいと思います。

※展示会・イベントの日程は変更することがあります。公式サイトから確認をお願いします。

清永 健一(きよなが けんいち)
株式会社展示会営業マーケティング 代表取締役
展示会営業Ⓡコンサルタント。中小企業診断士。奈良生まれ、東京在住。神戸大学経営学部卒業後、メガバンク系コンサルティング会社など複数の企業で手腕を発揮し、2015年に独立、株式会社展示会営業マーケティングを創業する。「展示会は売上アップへの投資効率に最も優れた手法」と主唱。支援先企業からは、集客・受注・売上が大幅に増加したと好評の声が多数あがる。著書の「飛び込みなしで新規顧客がドンドン押し寄せる展示会営業術」「中小企業のDX営業マニュアル~オンライン展示会をきっかけとした営業改革術」(ともにごま書房新社)、「仕事のゲーム化でやる気モードに変える」、「営業のゲーム化で業績を上げる」(ともに実務教育出版)はいずれもamazon部門1位を獲得。行政、公益法人、金融機関、各地の商工会議所など講演実績多数。 ホームページ:https://tenjikaieigyo.com/

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