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人間学・古典

第三十二話 「涙を振って馬謖を斬る」

中国哲学に学ぶ 不況は会社守成の好機

三国志で知られる諸葛亮孔明は三軍を率いて魏を討つべく兵を進めた。
魏は司馬仲達を用い二十万の大群を以て孔明の侵攻を防がせた。このとき孔明にとって一ヶ所不安なところがあった。
それは蜀軍の糧の輸送路にわたる街亭を誰に守らせるかであった。

このとき、自らその任にあたりたいと願い出たのが馬謖であった。孔明がひそかにその大成を楽しんでいた
若い将軍であった。“多年兵法を学んで街亭一つ守りえたいようでは大きな恥。私はおろか一門すべて
軍罰に処せられても決して恨みません”“よし、陣中に偽言なしだぞ”ということで街亭へ急行させた。
孔明の命令は、山麓の道を死守せよ、ということであったが、馬謖は敵を引きつけて討つには絶好の地形であると
考え孔明の命に反して山頂に陣取った。その結果は水を絶たれ惨敗に終ってしまった。

孔明はこの結果全軍を漢中への後退を余儀なくされてしまった。

そして馬謖は惜しむべき男であるがそれは私情である。しかし、このような私情は彼のおかした罪よりも
さらに大きな罪である。惜しむべき者であればこそ断じて斬って大義を正さなければならない。

馬謖が刑場へ引かれていくと孔明は顔を袖でおおい、床に伏して泣いた。そして馬謖よ許しておくれ、
本当の罪は自分にある。自分の不明にあるのだ。しかし、いま自分の首をはねるわけにはいかない。
なぜなら、生きて蜀のためにお前の死を活かすことをはからなければならないからだ。

画然とした公私の区分として教えられよう。


※一部旧字を現代漢字に変更させていただいております。

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