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第21回 信玄温泉(山梨県) ビジネスホテルで堪能する極上の「モール泉」

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

 ■市街地に名湯が湧く!
 出張の多いビジネスパーソンにとって、ビジネスホテルは身近な存在だろう。最近は温泉付きのホテルも増えているので、宿選びの際の条件としている人もいるかもしれない。
 
 だが、市街地に建つという立地から、総じてビジネスホテルの湯の質は低い。何度も循環ろ過され、ほとんど原型をとどめない湯に出くわしてがっかりすることも多い。
 
 ビジネスホテルでも、かけ流しで質のよい温泉に入りたい……。そんな願望を叶えてくれるビジネスホテルが山梨県甲府市にある「ホテル1‐2‐3甲府・信玄温泉」。中央道・甲府昭和ICから約10分、交通量の多い国道沿いの市街地に位置しながら温泉が付いている。
 
 温泉が付いてくるといっても、1泊5000円代から泊まれる、ごくごく普通のホテルである。「所詮はビジネスホテルの湯でしょ」と高をくくっていると、その思い込みは見事にくつがえされることになる。
 
 温泉は本館と別棟の2カ所。男女交代制なので、宿泊すれば両方の浴室を利用できる。日帰り入浴も積極的に受け付けているようで、続々と地元客がやってくる。
 
 
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 本館のロビー横にある大浴場は、20人が浸かれそうな大きなタイル張りの湯船。大量の湯があふれ出していて感動的である。毎分400リットル以上も湧出しているからこそできる湯の使い方だ。
 
 露天には1人で入浴するタイプの五右衛門風呂。湯船が小さい分、湯の個性が強く感じられる。別棟の露天風呂からは富士山も拝めるという。
 
 ■植物の香りを放つ琥珀色の源泉
 源泉は約44℃の単純温泉。温泉に含まれる成分量は多くないが、琥珀色をした透明湯で、しかも湯口付近からは硫化水素臭と甘い匂いが混ざった独特の香りがぷんぷんと漂う。スベスベ、ツルツルとした感触も強い。さらには、肌に大量の気泡が付着する。新鮮な湯の証拠である。
 
 信玄温泉の湯は、いわゆる「モール泉」の特徴を備えている。モール泉とは、植物起源の有機質を含んだ温泉のこと。もう少しわかりやすくいえば、地中に堆積した太古の植物に含まれる有機質が溶け込んだ温泉である。
 
 ツルツル、スベスベとした肌触りと植物系の独特の香りが特徴。癒し系のやさしい香りを放つ温泉が多いので、湯に浸かりながらまるで森林浴をしている気分になる。個性はそれなりに強いのに、やさしい入浴感なのがモール泉の魅力である。
 
 モール泉は、だいたいが茶褐色の透明湯。その濃淡によって琥珀色、飴色、紅茶色などと表現されるが、なかにはコーヒーやコーラのように真っ黒なモール泉も存在する。
 
 昔、日本には北海道・十勝川温泉にしかモール泉はないといわれていたが、現在、全国各地に存在することがわかっている。宮城県の東鳴子温泉や熊本県の人吉温泉、東京都大田区、神奈川県の川崎市・横浜市・鎌倉市、千葉県の養老温泉などに湧く通称「黒湯」もモール泉の一種だ。
 
 実は、山梨県の甲府盆地は「モール泉」の宝庫。市街地の温泉施設に何気なく名湯が眠っているからあなどれない。
 
 ■温泉の質への高いこだわり
 ホテル側も、温泉の質にはこだわりをもっているようだ。浴室の入口にある貼り紙には、「源泉100%掛け流し湯」「毎日湯抜き清掃」と書いてある。
 
 「毎日湯抜き清掃」というと、当たり前のように感じるかもしれない。実は、「毎日湯抜き清掃」をしている温泉施設は、どちらかというと少数派である。
 
 つまり、多くの施設が源泉を使い回す循環ろ過装置を備えているので、何日も連続して湯船を使っているのだ。特に効率を重視するビジネスホテルでは、循環ろ過に頼る施設が少なくない。そういう意味でも、信玄温泉は異色の存在である。
 
 私も温泉付きのビジネスホテルを使うことが多いが、温泉の質の高さでは、信玄温泉が一番だと自信をもっていえる。
 

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