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税務・会計

第62号 BS「格言」 其の十三

会社を守り抜くための緊急対策

其の十三

地方の疲弊はバランスシート格差が原因

 

 格差が広がってはいけないという理由で、世の中、格差是正の方向に向かっているようですが、すべての格差が悪いわけではないと思います。
 適度な格差はやる気を起こしてくれるものです。
 格下の人は、格上の人がいるからこそ、闘争心が出て、元気が出るものです。格差のない社会には、この闘争心が失われてしまいます。
 後述しますが、人が幸せを感じるために必要なものとして闘争心があります。この闘争心があるからこそ、高い志を持ち続け、夢を勝ち取ることができるのです。
 ですから、いい格差はこの闘争心を呼び起こしますので、その意味では、必要な格差もあると思います。

 ところで、いまの日本の社会において問題になる格差をあげるならば、バランスシート格差ではないかと思います。
 地方公共団体でも東京都のバランスシートはいいと思います。もしかしたら、お金を生んでくれる魔法のバランスシートかもしれません。
 しかし、他の地方自治体のバランスシートは債務超過状態またはそれに匹敵する地方自治体が多いのです。
 これでは、地方に元気が出るはずがありません。
 行政は競争社会の中にいる会社ではありませんので、東京都と地方とのバランスシートの格差はできる限り少なくするような政策は必要だと思います。
 
 会社のバランスシートと同様、地方公共団体のバランスシートも一度悪化すれば、自分の力では魔法のバランスシートを獲得することはできません。
 だからこそ、地方の時代というのであれば、真っ先に、地方のバランスシートを魔法のバランスシートにすべきなのです。
 もちろん、バランスシートが悪化した原因は支出のあり方にありますので、悪化した原因の根絶を図ることも必要なことです。
 
 これまでの国や地方自治体は、単式簿記といわれる現金主義の収支に基づいて決算を行っており、当期と次期の決算を結びつけるバランスシートが存在しない単年度決算になっています。
 これに対して、私たちの企業では、一つ一つの取引をすべて伝票に仕訳をし(これを複式簿記といいます)、毎月、試算表を作成し、決算書である損益計算書とバランスシートを作成します。
 そしてバランスシートの各残高は翌期に繰り越されていきます。
 つまり、企業のバランスシートは、どのようにして作成されたのかが分かるようになっていますし、1年間で終わるものではなく、会社設立から今日までのすべての流れを表しているのです。
 これを検証可能なバランスシートといいます。
 簡単にいえば、国や地方自治体には検証可能なバランスシートがなかったのです。ですから、破綻状態がきても、なかなか現状を把握し、改善することができなかったのでしょう。
 
 書店に行くとわかりますが、ある本では日本は破綻する!とあり、別の本では、日本は大丈夫!と専門家の中でも意見が異なっています。
 このように意見が真逆になるということは企業では考えられません。
 ひとえに、検証可能性のあるバランスシートがないことが原因なのです。国の現実の検証可能なバランスシートを早く作成し公表してほしいものです。
 そうすれば、本当に日本が大丈夫なのか、それとも破綻寸前なのかがハッキリとします。
 (本当は、はっきりさせたくないという事情もあるのだとは思いますが・・・)
 
 ところで、会社は、二重帳簿を作成してはいけないことになっています。つまり、粉飾決算をしてはいけませんし、特に上場企業は公認会計士や監査法人(公認会計士が5名以上集まった監査の専門法人)がチェックすることになっています。
 しかし、国は、一般会計という表の帳簿と特別会計という裏帳簿が存在しています。つまり、二重帳簿を作成していることになります。
 そして、表の帳簿における税収不足を借金である国債で賄い、この国債の償還、つまり借金の返済は借換債という国債の発行でまかなっているのです。
 消費者金融のコマーシャルで、借入は計画的に!収支のバランスを考えて!は国や地方自治体に言いたいところです。
 
 借金の返済を借金でまかなっていれば、資金調達ができなくなったとき、会社であれば確実に倒産します。
 しかし、国はこれを平気で行っています。国のバランスシートを見るのがとても怖くなります。
 
 
 

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