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税務・会計

第63号 BS「格言」 其の十四

会社を守り抜くための緊急対策

其の十四

豊かさはバランスシートに現れる

 

 今、社会では、格差が問題となっていますが、損益計算書とバランスシートの話で言うならば、損益計算書、つまり、売上や利益においては競争社会で生き抜く必要があるため格差が生じて当然でしょう。
 しかし、バランスシートで格差があるとやはり問題になってきます。なぜならバランスシートが豊かさの象徴だからです。
 バランスシートの格差是正は寄付をはじめとする社会還元のシステムを構築すれば確実に改善できるかもしれません。
 
 例えば道州制などは、国をどこで区分するかは、GDPのみではなく、バランスシートで区分して、各地域でのバランスシートの格差をなくしてからのスタートが望ましいのです。
 各首長の方々が、地域主権や道州制の導入を必死に訴えているようですが、道州制になれば、国の借金が各地域に移行することを知って主張しているのでしょうか。
 このことは、道州制移行の流れを考えれば、当たり前のことなのです。
 道州制になると言うことは、国と各地域の役割分担が行われます。基本的には、国の仕事が各地域に移転します。そうなれば、これまで、国の仕事としてひも付きの借金は、当然、各地域に移転されることになることは容易に想定できます。
 中途半端な地域主権・道州制の導入は、各地域の負担が今以上、増加することになるのです。バランスシート感覚を身につけていると、このようなことは簡単に想定できます。このバランスシート感覚のない首長がリーダーになってしまうと、各地域は、ますます財政破綻になって行くかもしれません。
 
 話しは変わりますが、消費税増税などの増税時代に突入すると何が起きるでしょうか。大企業では賃上げの話をしているようですが、極めてIR的要素が強いのです。すべての大企業とは言いませんが、実態は次のようなものです。
 世間に、「うちは賃上げを行います」と発表している会社の背景には、大リストラがあります。
 表面的には、賃上げをしてアベノミクスを後押ししている感じですが、その裏では大規模なリストラを行い、結果的に、人件費の総額が減少していることもあります。
 賃上げがなかなかできない中小企業に働いている人からすれば、大企業はいいなあと感じるかもしれませんが、表面だけをとらえてしまっては、本当のことは見えてきません。
 
 この賃上げですが、利益が増加したからと言って簡単にできるものではありません。一度、賃上げをしますと、人件費が当然、毎月増加します。少しの利益は吹っ飛んでしまいます。
 一人ひとりの賃上げは小額であっても、社員全体の賃上げ額は多額になります。
経営者は、全体の人件費を考えています。ですから、賃上げには慎重にならざるを得ません。
 賃上げを損益で考えますと、中小企業は簡単に倒産してしまいます。賃上げはバランスシートの豊かさで判断すべきなのです。
 
 会社の豊かさは損益計算書には現れることはありません。あくまでも、バランスシートの話なのです。
 バランスシートにおいて、現金化できる資産が増加し、また、今後、収益を生む資産が増加し、さらに、結果として現金預金も増加するという状況になって初めて、「豊かさ」を感じるものです。もちろん豊かさは個人で差があることは当然のことです。
 中小企業の賃上げは、それからになります。
 確かに、消費税増税により、生活が苦しくなっていることはわかりますが、それにより、生活基盤の会社が傾いては本末転倒です。
 
 働くモチベーションは、給与だけではないはずです。
 とはいうものの、何をしていいのか、なかなかわかりません。
 そこで、ヒントです。
 「食」「健康」「男女」「非日常」「所有」「知識」「一攫千金」「差別化」「帰属意識」「好奇心」「闘争心」「心と感性」
 12項目を挙げてみました。
 これらは、人が「欲しいもの」です。一つでも多く満たされれば幸せを感じるものです。
 売上が増加している会社は、販売している商品の付加価値として、お客様や取引先の人に対して、これらの12の項目を何らかの付加価値として提供しているものです。
 また、元気な会社は、福利厚生として社員に対して、この12の要素を活用しています。
 昼休みに食べに行っても混んでいるため時間がなくなると言った不満がある会社は、置き薬ならぬ「置き惣菜」をコンビニと提携して導入しているようです。
 これも社員に対して「食」を考えた福利厚生の一環なのでしょう。それだけでも、会社の雰囲気は良くなるものです。
 お金をかけずに、これら12の要素を考えることで、給料以外にも働くモチベーションが出てくるものです。
 
 
 

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