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税務・会計

第75号 BS「格言」 其の二十四(1)

会社を守り抜くための緊急対策

其の二十四

資産が増えると資金不足になる摩訶不思議(1)

 

 資産が増えるということは利益が増加することに繋がります。
 これは何となく分かると思います。
 しかし、資産が増え、利益が増加するのに、どうして資金が不足するのか、なかなか、分かりにくいかもしれません。
 在庫と資金について、簡単な例で考えてみることにしましょう。
 
 
在庫と未回収の影響                         損益計算書          バランスシート
購入   売上原価 売れ残り       在庫   資産増加      資金不足
販売   売上    未回収       売掛金
 
 商品を購入し、販売から回収の流れで考えます。
 商品を購入し、未販売であれば資産になりますが、販売すれば費用(売上原価)になります。
 
75-1.jpg
 1,000円で購入し、それをすべて1,200円で販売し、全額回収したケースです。
 商品はすべて費用になるため、1,200円-1,000円=200円が利益になります。
 1,200円全額回収したため、売掛金はゼロになり、資金余剰も200円になります。
 
75-2.jpg
 1,000円で購入し、そのうち800円分を960円で販売し、全額回収したケースです。
 購入分1,000円のうち、200円は在庫になるため資産が増加します。
 960円-800円=160円が利益になります。
 960円全額回収しましたが1,000円の購入のため、資金余剰は△40円になります。
 資産が200円増加し、利益を160円計上しているのに資金ショートになっています。
 
75-3.jpg
 1,000円で購入し、そのうち800円分を960円で販売し、500円回収したケースです。
 購入分1,000円のうち、200円は在庫になるため資産が増加します。
 また、未回収分460円だけ売掛金として資産が増加します。
 960円-800円=160円が利益になります。
 500円回収しましたが1,000円の購入のため、資金余剰は△500円になります。
 資産が660円増加し、利益を160円計上しているのにかなりの資金ショートです。
 
75-4.jpg
 1,000円で購入し、そのうち800円分を960円で販売し、未回収のケースです。
 購入分1,000円のうち、200円は在庫、つまり資産になるため資産が増加します。
 また、未回収分960円だけ資産が増加します。
 960円-800円=160円が利益になります。
 未回収で、しかも1,000円の購入のため、資金余剰は△1,000円になります。
 資産が1,660円増加し、利益は計上しているのにかなりの資金ショートです。
 
 このような事例を使いますと、資産が増加すれば利益が計上されても資金がショートすることが明確になります。
 
 資金と利益の関係は、周知の通り、間接法のキャッシュフロー計算書に明確に表現されます。
 この点は次回にお話します。
 
 
 

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