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マネジメント

第6回 『人間にできてAIには決してできないこと』

酒井英之の社長のビジョン実現道場

AIを持ったコンピュータにできること、できないこと

 そこで、今一度「AIを持ったコンピュータにできることと、できないことは何か?」について考えてみましょう。

 

 そのヒントが、書評家で著名な土井英司氏の『一流の人は、本のどこに線を引いているのか』(サンマーク出版)に掲載されています。

 

 「人間には原因が作れる。しかし、コンピュータには原因を作ることはできない。原因が何かを探ることもできない。だから、コンピュータなど敵ではない。未来を作れるのは人間だけなのだ」

 

 どういうことか。例えば、ヘルシア緑茶を題材に考えてみましょう。

 この緑茶は花王の製品です。アサヒやキリンの製品ではありません。

マーケティングが専門の中京大学の坂田隆文教授は、「ヘルシアは飲料メーカーには創れない」と言います。

 

 なぜなら、ヘルシアが不味いからです。

飲料メーカーは、美味しいものを創るのが仕事です。アサヒは「うまい」を、キリンは「おしいさ」を追求しています。

 

 そのため社内で誰かが、脂肪を燃焼させる茶カテキン満載で、飲んだら痩せる効果にある飲料を提案すると「そんな不味いものは売れない」と、却下されてしまうのです。

 

 飲料メーカーには過去の販売データの蓄積があります。

コンビニのPOSデータの蓄積があります。

コンピュータを使って、このビッグデータを解析します。

 

 すると何が出てくるか。

「美味しいものが売れた」という事実は出てきます。

「どんな味が誰に好まれるのか」も出てきます。

 

 しかし、「不味いものが売れた」という事実は出てきません。

 

 つまり、コンピュータは、過去の売れ筋を分析して「この味なら売れる」という判定ができても、今まで見たことも聴いたこともないような味のものを「ダイエット志向が強い今日には受けるかも!」と気づき、茶カテキン満載の緑茶を売り出そう!とは着想できないのです。

 

 このことは、売り方を考える時も同じです。

仮にあなたの会社が、青汁を開発したとします。

そして、過去のビッグデータを分析し、どんなCMで訴求すれば売上げが伸びるのかを探ったとします。

 

 しかし、どれだけ解析しても、悪役俳優が渋い顔で「うーん、不味い」というあの大ヒットしたプロモーションにはたどり着けないでしょう。

過去に「不味い」と言って飲料を売った事例がないからです。

 

 このようにコンピュータにできるのは、ひとつの結果から次の結果を類推することだけであって、画期的な成果を生み出す原因を作ることではないのです。

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