書店に行くと、米国流スピードビジネスに対し「スロー」という言葉のついた経営書が目立つようになった。新手の手法か?
疑問に思っていたが、先週、新事業コンサルタントの高島健一氏に伺ったら、実に明解な分析が帰ってきた。少々長くなるが、会話の一部を再現したい。
作間:「先生、最近“スロー”という言葉が目立ちますが、先生の目にはどう映っています?」
高島:「そうねー。昨年、アキレス腱を切って、自分自身がスローになったから思うけど、今、冷静に考えてみるとこう思うよ。」
「元気な時と違って、あれもこれも出来ないから、行動する前に、他人にお願いする事と、自分でやらなければならない事をまず分ける様になって、その順番をじっくり、朝考えたね。」
作間:「つまり、優先順位づけ?」
高島:「そうそう。だって、松葉杖だと物をもって歩けないもん」
「次は、車椅子の移動だから、行く前に道順やエレベーターの位置まで、事前調査に時間を随分使うようになるね。それと、企業訪問の時は、そうだけど、2度も行けないから、インタビューや見学のポイントを絞って、絶対ミスがない様に注意したね。」
作間:「結果的にクオリティーが高い取材が出来るって事ですか?」
高島:「自分でもそう思った。結果的に質を落とすことなく、自分のペースで仕事を3~4ヶ月コントロールできたように思う。」
作間:「今、携帯電話もあって、相手のペースになる事多いですよね。」
高島:「自分は携帯電話を3台もってるけど、基本は、かけるの専門。ほとんど留守番伝言につかってる。そうしないと大変だよ。メールも毎日3000通くらい届くしね。」
作間:「え!!そんな数、読めます?」
高島:「読んでないよ。見てるだけだよ。でも、大事なのは、ちゃんと判るから不思議だよね。」
「最近、足が治ったら、また、スローから元に戻りつつあるのよね。」
作間:「せっかくクオリティーの高い仕事術を体得したのにもったいないじゃないですか?」
高島:「自分でもそう思う。忙しすぎる社長も同じだと思うよ。バタバタ忙しいのは、やっぱり良くないよね。大切なことに集中すればいいんじゃないの。」
「答えになるか判らないけど、自分の体験からスローを考えると、そんなとこかなー。」