東京ビッグサイトでは連日、ビジネスショーや展示会が行われていて、出展されている会社も、視察で参加しておられる方も多いと思う。
広くて、荷物も多くなり、コストもかかり、正直「もう、いいや」と思っている方も多いはずである。しかし、いろいろな工夫でビジネスチャンスを拡げておられる経営者がいらっしゃる。
・海外の展示会を廻っているとき同行したM社長
自社製品の委託加工先を探すために、中国からわざわざ出展している会社のブースを丹念に観ておられた。製品精度は見ればだいたい見当がつくとのことで、あの広い中国で一社づつ訪問するわけには行かない。
輸出する力があるから海外の展示会まで出てこれるし、事業意欲もあり、商談が進みやすい、と。結局、今では2都市の会社とリスクを分散しながら取引を続けている。
・これも海外展示会に行っている社長
技術展示会を中心にヨーロッパに毎年見に行かれる人で、言葉もそれなりにいける。一つには新しい技術が日本に入ってくる時期と、定着可能性を観ている。
そして気になる機械を出展している会社の本社工場を訪ねて展示会とは別に商談を進めていく。展示会ではスペースも限られており、他の機械や技術、研究中のもの、製品によっては中古品も見ることができる。全てが大企業ではなく、かえってファミリービジネス(中小企業)が、多いのも特徴であり、こちらが中小でも全く関係ないとのこと。
・先日の東京の展示会に出展していたI社長
常連さんのお客様と新商品の商談がちょうど終わった時、ある銀行の支店長と5人の経営者が、ブースに立ち寄られた。どうみても、ウチの業界の人ではないようで話を伺うと、皆さん金属加工業とのこと。
昨今の状況で支店長に相談したら新規開拓しかないとのことになり、初めて展示会に来たらしい。エクステリア関連のI社長の商品をみて、試作加工をさせてもらえないかとの依頼であった。
たまたま一部のステンレス品の表面処理で協力工場を増強することを考えていたので、今、話を進めていると。彼らが設備している機械のリストを持っていたので、名前を見ればだいたい技術、加工レベルは判断できる。あの支店長は偉いな~と、関心しておられた。
・周辺事業の展示会にも、顔を出してみよう
業界によっては、展示会がますます大きくなるものと、逆にだんだん出展企業が少なくなっていくものがある。当然といえば当然である。
そこで敢えて、社長や経営幹部の人は、自分たちの事業の周辺や最近すごく伸びていそうな展示会に行ってみよう。
昨年末にも関与している企業が出展されていたので5時間くらいではあったが医薬関連の展示会に行ってきた。専門でないので創薬のことは全く意味不明であったが、関連業界の裾野の広さには正直驚いてしまった。
固定概念で考えると、ウチには関係ないと思われる分野でも、社長が直接見てみると、思わぬ発見や、異なった切り口での提案がうまれる。
現在の状況では、まだまだ厳しさは続くであろう。新しいことに挑戦し続けなければ業績を維持することさえ難しい。ましてや同業が出て行った後に追随していてはまいどの価格競争に陥るだけである。
一番事業センスの高い社長と、まだ頭の柔らかい若手で、世界中にビジネスの芽を集めに行こう。特に若手は自信を土産に帰ってくる。
(2009年6月24日配信)