menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

戦略・戦術

第138号 1店舗/8,000人

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 この数字は、日本の人口に対するドラッグストアの店舗数の割合である。
 日本チェーンドラッグストア協会によると、ドラッグストアの店舗数は全国で16,200 店舗あり、日本の人口約1 億3,000 万人として単純計算すると、8,000 人あたり1 店舗が存在することになる。

 このような状況下においても、大手ドラッグストアは出店意欲が旺盛で、近い将来、2 倍増の3 万店舗に増加すると見込まれている。4,000 人に1 店舗という、超狭小商圏化時代が到来するのである。この過当競争の中で、ドラッグストアは、どう生き残ろうとしているのか―。

 あるドラッグチェーンは、その活路として、通販型のきめ細かな顧客管理手法を取り 入れた戦略を打ち出している。ドラッグストア内に併設した「かかりつけ薬局」としての機能を生かしながら、宅配サービス機能を付加することで、リピーター客の育成・確保を強化。利便性を高めて、お得意さまを増やす施策により、狭小商圏でも成り立つ戦略にシフトしている。

 もはや大型店舗を構えて品揃えを充実させ、顧客を呼び込む「集客型」店舗の時代 は終わり、これからは、店舗側が顧客に近づいていく「接客型」店舗の時代なのである。

 この商圏の狭小化は、ドラッグストア業界だけの話ではない。オーバーストアは、人 口減や高齢化の進展に付随する、日本社会の一つの現象であり、この変化に対応していくためには、地域特性や消費者ニーズ、ライフスタイルをくみ取った、売り場づくり、取扱商品、サービス内容の改変が求められている。

 業界は異なるが、現在、その取り組みにより成功を収めているのが、「餃子の王将」 だ。同社は、店長に権限を持たせ、地域性や周辺環境に合わせて、その店独自のメニューやサービスを提供していることで有名である。各店舗での調理を基本とし、「ご当地メニュー」も存在するという。

 ある神奈川県の「餃子の王将」は、店長を含めてスタッフ全員が女性で、住宅街、女子大から数百メートルという立地を生かし、「女性が入りやすいお店」をテーマに据えている。
 女性に好まれるメニューや接客サービス、店舗の雰囲気作りに工夫を凝らし、独自にファミリーレストラン的「餃子の王将」を作り上げて売上を伸ばしている。 チェーン店ながら、地域に密着し、顧客の生きた声を取り入れる努力をして、オンリーワン性を磨いてきた結果である。

 このように、オーバーストアの時代に対応するには、顧客に近づき、顧客の本音を知 り、顧客の日常に寄り添うことが一番大切だ。基本的に通販業界は、固定された商圏を持たず、有店舗に比べて自由度が高いものの、過当競争下にあることは同様である。

 小売・サービス業が、どんどん通販的手法を取り入れて、業界のボーダーレス化が進んでいる今、我々は、業態間競争に勝ち残るためにも、さらに通販的機能を深耕させていかなければならない。

 

第137号 テレビ通販のネット活用前のページ

第139号 マーケティング3.0を考える次のページ

関連記事

  1. 第173号 9兆6733億円

  2. 第178号 既存の業態にとらわれない

  3. 第186号  宅配便の料金値上げの実態

最新の経営コラム

  1. 【昭和の大経営者】ソニー創業者・井深大の肉声

  2. 「生成AIを経営にどう活かすか」池田朋弘氏

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    第74回 『幸福源』
  2. 新技術・商品

    第55話 この好機をつかむか、見逃すか
  3. 健康

    第36回 甲子温泉(福島県) 濁り湯にはない「透明湯」の魅力
  4. 戦略・戦術

    第190話 「少人数私募債を活用しなさい」
  5. 社長業

    Vol.73 「悪条件は好条件」という考え方
keyboard_arrow_up