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戦略・戦術

第248号 宅配送料についての新しい取り組み

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 今年ほど物流業界の運賃値上げやサービス変更に翻弄された年はないだろう。ヤマト運輸を筆頭に、佐川急便、日本郵便の大手3 社が今年、運賃値上げや荷受量の規制に動いたからである。国土省の発表によると、昨年度の宅配便の取扱い数は優に40 億個を突破し、このペースでいくと2025 年には60 億個に達するという。
 
 この現象は、もちろんネット通販の需要拡大に起因している。物流業界のドライバー不足は深刻な状況で、早急の待遇改善と、コンビニや宅配ロッカーなどの受取り拠点の拡充により、B to C では2 割以上という再配達率の改善に急ピッチで取り組んでいる。
 
 一方、通販業界でも、送料について新しい取り組みを試験的に行っている会社が出てきている。ユニークなのは、ファッションECのゾゾタウンが今年10月に始めた『送料自由』だ。これは、0 円から3,000 円の範囲で顧客が自由に送料を決められるもので、送料設定しなければ400 円が自動的にかかるしくみだ。ファッションEC ではよく『送料無料』サービスを行っており、そのサービスとの比較検証が気になるところだ。
 
 また、靴・ファンションEC のロコンドでは今年9 月から、配送サービスプランの中に『急ぎません。便』を導入している。宅配業者への負担軽減として始まったもので、翌日から3 日後の配達日数で料金は290 円。この他にエクスプレス便(490 円)、お急ぎ便(390 円)、日時指定便(290 円)、ポスト投函便(190 円)といったプランも用意されており、いち早く「サイズ交換・返品送料ゼロ円」を打ち出して人気を獲得しているロコンドらしい戦術である。
 
 このような送料設定により物流業界の問題が解決するわけではないが、消費者をうまく巻き込みながら、新しい取り組みを模索する通販会社に注目が集まっている。
 
 
 
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