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人間学・古典

第24回 過ちを悔い改める 重耳の失敗対応

経営に活かす“十八史略”

 日々、トップとしてきちんと反省をしながら業務を遂行するあなたであれば、その姿はとても魅力的であり、部下はこの上司と共に会社を発展させていこうと思うはずです。
 しかし、それでも人間ですから大失敗をし、部下の心が離れてしまうという事態に至ることもあります。問題は、そうなったときの対応の仕方にあるのです。
 「十八史略」には、以下の話があります。
 春秋時代、覇者の一人となった晋(しん)の文(ぶん)公ですが、若い頃には苦労を重ねました。
 父の献(けん)公は驪姫(りき)を寵愛します。自分の生んだ子を太子に立てさせようとした驪姫のウソの告げ口を信じた献公は、太子の申生(しんせい)を殺し、蒲(ほ)の地にいる次男の重耳(ちょうじ)(後の文公)を攻めるのです。そこで重耳はその地から逃げ出して、19年間もの亡命生活を各地で送った後、ようやく国へ帰還しました。
 かつて重耳が旅の途中、食うものがなくなり、飢えに苦しんだときのこと。お供の介子推(かいしすい)は、自分の腿(もも)の肉を切り取って重耳に食べさせました。
 のちに重耳が国に帰って文公となったとき、亡命時に供(とも)をしていた狐偃(こえん)、趙衰(ちょうし)、顚頡(てんけつ)、魏犨(ぎしゅう)の4人に厚い恩賞が与えられたにも関わらず、介子推には沙汰(さた)がありませんでした。
 そこで介子推の従者が、宮廷の門に張り札をしました。
 「1匹の竜がいた。初めは勢いがあった。しかし、しばらくして居場所が無くなった。そこで5匹の蛇を従えて、天下をさまよった。あるとき、食べ物がなくなって飢えに苦しんだ。1匹の蛇が腿の肉を切って竜に食べさせた。その後、竜は元の棲家(すみか)である淵(ふち)に帰って、そこに落ち着いた。4蛇もまた穴に入り、棲家を得た。ところが、あの飢えを救った1匹の蛇だけは穴もなく、荒野に泣いた」
 文公はこれを見て言いました。
 「ああ、私の間違いであった」
 そして文公は、人をやって介子推を探させましたが、なかなか見つかりません。綿上(めんじょう)山に隠れていると分かり、出てくるようにと山を焼いたところ、介子推は出てこず、焼け死んでしまったのです。
 後の人びとは、介子推をあわれんで、毎年、その日に火を焚(た)くことを禁じ、冷たい食事をしてその霊をなぐさめました。文公は綿上山をとりまく田地を介子推の所領として供養にあて、介山(かいざん)と名づけたのです。
 介子推は最後まで現れませんでした。自分だけ恩賞を与えられなかったことを深く恨んだからかもしれません。しかし、その他の人びとは文公の行いを見て、この人物にはついていけるという思いを強くしたのではないでしょうか。
 人は誰でもミスを犯します。しかし、権力を持っている身でありながら、それを素直に認めて改めようとする者は多くありません。その点、文公は自分の間違いを悟った時点で、すぐに反省して対応策を打ったのです。こうした行動は、離れかけた人の心を呼び戻す力をもちます。
 企業において社長はトップであるが故に、ミスを認めるのは容易ではないでしょう。しかし、論功行賞でのミスは、気付いたらすぐに改めなければ組織風土を悪化させ、業績にも悪影響を与えることになります。

 部下とはよくコミュニケーションを図り、評価に納得してもらうこと

 がとても重要なのです。定期的に面談の時間をとるなどして、互いの意思疎通をしっかりと図るようにしてください。

 

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