講話は経営や人生の智恵の宝の山。経営者や専門家が自らの体験を講話で伝える深さと、より楽しむ聞き方を実学・耳学・磨く「MIMIGAKU(ミミガク)」を提供する日本経営合理化協会オーディオ・ヴィジュアル局の企画担当者が毎回紹介していきます。
前号の「Track3 講演録の聞き方」では、孫正義氏の28歳の時の講話から、経営者が自らの経営を通じて得た体験をもとに、自らの言葉で大事だと思うことを選んで話している講話の深さをお伝えしました。いま聞いても刺激をいただける内容です。ぜひ、自分ならではの元気と勇気がもらえる講話に出会い、何度も繰り返しお聞きいただきたいと思います。
さて、Track4 では、Track2にて講話の種類について少し触れさせていただいた専門家の方の講話についてもう少しお伝えしていきたいと思います。
経済、税制、トレンド、技術、教育、哲学…専門家の方々の分野は幅広く実に多彩です。どの方も何かの分野に精通し、長年の現場の経験や研究、取材を60分ほどの講話でまとめて話されているため、その分野に触れようと思う時には最適です。講話のテーマに即して組み立てられ、聞き手にわかりやすく解説し、大事なポイントなどをお伝えするものが多いです。
専門家の講話と似たようなものでよくあるのがプレゼンセミナーです。多くの場合は無料で開催をしているのが特徴です。こちらは自社の商品・サービスなどを知ってもらいたいので、講話の中で課題や現状の業界の問題を提示され、この商品を使ったら、このシステムを使ったら解決しますという流れが多くなります。プレゼン型を好まない場合には聞く前に確認することが大切です。
もちろんプレゼン型でも課題へのアプローチや注意しておくべきポイント、質的・量的に調査した一次情報や二次情報、解決するための商品やサービスの仕組みや特徴なども得られるので役立ちます。興味を持ったらいくつも聴いてみて課題の傾向を押さえておくことも良いかと思います。
ミミガクする講話の中に新しい発見がある
さて、話を戻しまして、専門家の講話でもそうでなくても基本的に1時間の講話でしたら得られる情報は限られています。最新動向のものであったならば現状はどのようになっていて、今後どうなるのか。何か問題を解決する方法だったら実行するための3つのポイント、最初にやるべき事など、手に入る情報は限られていることを踏まえて聞いてください。
また、古い講話であってもその時代背景を踏まえて聞くとヒントがもらえます。それは時代やモノが変わっても人間そのものの本質は変わらないからだと思います。聞く時には、この講話で何を得るかを決めてから聞き始めると頭に残る言葉も変わりますし、また、最初に思っていた講話の内容と異なる部分があっても智恵を得られます。
ぜひ、何かの分野について知りたかったら、その道で活躍されている方々の講話を探して聞くことをおすすめします。ちょっと興味ないなと思う講話こそ自社の事業のヒントが多数あります。
読書もそうですが、講話も同じく自分の好きな分野に偏ってしまうものです。トレンドはもちろん、聞いたことがない技術や新しい手法の講話を幅広く聞くことで、新しい発見があります。自社ではこんな事に使えるのではないか、AとBを組み合わせたらこんな事が起きるのでは、この分野はこのような方向に進むかも…のように、自社の悩みの解決方法の選択肢が増えていくのです。
次号は専門家の講話をもとに情報を得る方法をお伝えしたいと思います。