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愛読者通信

「売れて儲かる経営『5つの戦略視点』」
佐藤 義典氏(ストラテジー&タクティクス代表)

「愛読者通信」著者インタビュー

 「売れない時代」の真っ只中で、多くの中小企業が売上不振にあえいでいる。
 経営の必勝戦略づくりのフレームワーク「戦略BASiCS(ベーシックス)」を駆使して、指導企業の収益を飛躍的に伸ばすマーケティングと競争戦略の達人・佐藤義典氏に、幾多の企業で実証されてきた「中小企業の勝ち方の極意」をうかがった。

佐藤義典(さとう よしのり)氏
ストラテジー&タクティクス代表 
指導先会社の業績を飛躍的に伸ばす゛マーケティングと競争戦略の達人″の異名を持つ経営コンサルタント。
ペンシルバニア大学にてMBA取得後、外資系大手メーカー、広告代理店で実績をつみ独立。自ら実際に戦略を立て、多くの成功・失敗体験から体系化した「戦略BASiCS」を駆使し、メーカー、流通、サービスなど多くの中小企業を高収益に導く。収益に直結する経営戦略理論を徹底的にかみ砕き、実戦に落とし込む分かりやすい指導に多くの経営者が信奉する。競合に打ち勝つ経営戦略を獲得する手法を、難解なMBA理論をもとに「戦略BASiCS」として体系化。
著書に「戦略BASiCS」(日本経営合理化協会刊)ほか多数。

 

Q:今日の慢性化した販売不振に対し、中小企業はどう戦っていくべきでしょうか?

 針のように尖った「強み」を持った経営をすることです。「強み」があれば、高く売ることができます。
 「強み」は、自社が顧客に提供する価値と、競合が顧客に提供する価値の「差」ですから、その差が大きいほど高い値付けができます。同じモノを売っているのであれば、お客様が安い方を選ぶのは当然です。そもそもモノ余りの日本では、万人ウケを狙っても誰にも〝刺さらない〟。個別具体的な顧客ニーズに応えた「鋭く尖った強み」がなければ売れません。強みなくして儲けなし、です。

 

Q:とはいえ、差別化で成功している企業は希少です。原因は一体なんでしょう?

 強みを「振り切れていない」ことに起因しています。中途半端な強みでは、競合にマネされます。しかし、大きく振り切れば、競合も諦めざるを得ません。
 たとえば、イヤホン・ヘッドホンというニッチな分野で、25億円を稼ぐタイムマシン(大阪市、大井裕信社長)という会社があります。同社のHPには、「秋葉原と大阪の日本橋で1000機種試聴ができるイヤホン・ヘッドホン専門店」というコピーが踊っていますが、たしかに100機種の試聴なら大型家電量販店にマネできても、1000機種となれば競合も諦めざるを得ない。
 さらに、従業員もこの2分野に集中すればよいので、自然と商品知識が身につき、良い接客にもつながります。要するに、同社は「ヘッドホン・イヤホン以外は売らない」とシンプルかつ明確に振り切ったからこそ、強みを支える組織のスキル蓄積や人材育成が速まり、結果として戦術(行動)を「やり切る」ことができたのです。
 同社が創業わずか7年で年商25億円の急成長を遂げたのも「運次第」ではなく、振り切った戦略をやり切ったからでしょう。

 

Q:では、自社の振り切った戦略を、経営者は実際にどう考えればよいでしょう?

 成功する戦略の条件は、「一貫性と具体性」です。「どんな顧客に、どんな価値を提供するか」が全ての基本で、その顧客を求めて戦う競合、その競合に対する自社の強み、強みを支える独自資源、価値を伝えるメッセージが具体的かつ一貫していなければ、望む成果は出せません。
 具体的な方法としては、私が開発した「戦略BASiCS(ベーシックス)」というフレームワークをお勧めします。これは「戦場・競合」「独自資源」「強み」「顧客」「メッセージ」という、たった5つの要素で自社の経営戦略を考える道具です。たとえば、先ほどのイヤホン・ヘッドホン専門店の戦略をBASiCSで分析するとこうなります。
 まず「戦場・競合」は、秋葉原と大阪の日本橋です。東西を代表する電気街に出店したのは、「イヤホン・ヘッドホンにこだわりを持ち、それに高いお金を払ってもよい顧客」を狙っているからでしょう。これが銀座や渋谷では、「顧客」と「戦場・競合」の一貫性がありませんから、戦略がチグハグになります。
 「独自資源」は、競合が強みをマネできない理由です。同社の強み「イヤホン・ヘッドホンなら日本一の品揃え」を支える「高度な商品知識をもつ人材」は、競合が強みをマネできない独自資源です。ちなみに独自資源は文字通り、競合にない独自な資源ですから、「戦場・競合」との一貫性、さらに「強み」との一貫性を考えて、投資すべき資産・捨てるべき資産を考えるのです。
 最後の「メッセージ」は、戦略を伝えるものです。同社HPのコピー「1000機種試聴できるイヤホン・ヘッドホン専門店」は、まさに戦略を統括しており、これを会社全体で共有することで、顧客が欲しがる「価値」(売りモノ・売り方・売り場・売り値)を全体最適で顧客に提供できます。
 このように、BASiCSの整合性がとれている会社は力が集中され、太陽光を集めたレンズのごとく強いエネルギーが顧客に伝わります。逆にバラバラだと力が分散されるので、資源の少ない中小企業こそ、整合性のとれた強い経営戦略が必要なのです。
 ただし言うは易しですが、勝てる戦略を作るのは大変です。「売りたい顧客」と自分の強みを重視する「買ってもらえる顧客」をすりあわせるには顧客調査など様々な作業が必要で、数ヶ月がかりです。
 だからこそ、やれば競合より確実に優位に立てます。そこで、誰もがBASiCSを実戦できるよう、具体的なやり方を本にまとめ、このたび日本経営合理化協会より出版いたしました。10年にわたる実戦で成果を実証してきたノウハウです。繰り返し読み、執念をもって実行して下さることで、これまでよりずっと戦いやすくなるはずです。

(聞き手/高橋悦子)

「愛読者通信」(2014年7月発行)

 

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