3月10日、ベンチャー企業を中心に利用されていた「シリコンバレー銀行」が破綻した。
資産2,090億ドル(全米16位)、預金1,754億ドルで、2008年9月の「ワシントン・ミューチュアル」破綻に次ぐ、2番目の規模の銀行破綻となった。
3月12日にニューヨーク州当局から事業停止命令を受けた「シグニチャー・バンク」も、資産1,103.6億ドル、預金885.9億ドルで米銀行破綻としては3番目の規模となった。
シリコンバレー銀行の親会社、SVBファイナンシャル・グループも、3月17日にニューヨークで連邦破産法11条の適用を申請した。
前週の3月8日には、暗号資産(仮想通貨)関連企業を中心に取引する「シルバーゲート・キャピタル」が、業務停止して自主的に清算する計画を発表しており、1週間で3行の銀行破綻が起こり金融危機(リーマンショック)を想起させ、銀行株が暴落したが、連邦預金保険公社(FDIC)が「シリコンバレー銀行とシグネチャー・バンクの全預金者を完全に保護する」と発表したことでパニックは収まった。
これらの銀行の破綻の一因には金利上昇が挙げられるが、根本原因はハイテクベンチャー企業や暗号資産関連への投資が多かったことで、これらの銀行破綻は、コロナバブル崩壊の影響を最も受けて暴落した暗号資産やベンチャー企業への投資が根本原因と考えられる。
この「銀行危機」はヨーロッパにも飛び火し、2022年後半に顧客流出があった「クレディ・スイス」の株が3月15日に急落、同じスイスのライバル銀行「UBS」が買収協議に入った模様だ。
■バブル崩壊後に次の主役
2000年のITバブル崩壊後、アマゾンやGoogleのようなインターネット企業が急成長し、パソコン事業で苦戦していたアップルは、次世代の音楽端末iPodで復活の兆しを見せ、2007年のiPhoneで再び注目を浴びるようになったが、バブル崩壊後には「次の主役」となる企業が登場する。
バブル期間中は資金が豊富で投資が活発になるため、本来は早い段階で消えてしまう企業が生き延びることができるが、バブルが崩壊すると「本物」だけが生き残るため主役が見えてくる。
3月14日に文書生成AIの最新バージョン「GPT-4」を発表したOpenAIをはじめ、今後みんなが利用することになるAI関連企業など、「次の主役」が出番を待ち構えている。
今後経営者には、バブル崩壊後の新たなチャンスを見逃さないよう柔軟な発想とスピーディな行動が求められる。
最新技術や市場の動向をキャッチし、顧客ニーズに応える新しい商品やサービスを提供することが重要で、国内外の競合企業に対抗するため、他社にはない独自の強みや差別化を追求することも大切だ。バブル崩壊後の新たなチャンスを活かしたい。
======== DATA =========
●シリコンバレー銀行
https://www.svb.com
●シグニチャー・バンク
https://www.signatureny.com
●シルバーゲート・キャピタル
https://www.silvergatebank.com
●OpenAI
https://openai.com