イヤホンは、耳に装着して、自分だけが音声を聞くための道具ですが、技術の進歩や時代背景の変化により、実に様々なタイプの製品が登場しています。時代を映す鏡と言えば大袈裟ですが、この記事では、近年注目すべきトレンドとして、「耳を塞がないイヤホン」の特徴と用途例をご紹介します。皆様の生活がより便利で快適になるヒントになれば幸いです。
一般的なイヤホンやヘッドホンは、耳を塞ぐように装着します。主に自分だけが音声を聞くことができることを目的としていますが、同時に周囲の騒音を遮断するという機能も持ち合わせています。この「遮断」は、周囲に騒音がある場合でも、イヤホンからの「音」に集中できるメリットがある反面、周囲の音が聞こえ難くなるのは注意が必要です。
最たる例は車の運転中や歩行時で、周囲の状況が音で把握できなくなると危険です。また、近年ではテレワークが増加し、オフィスでもイヤホンやヘッドホンを装着するケースがありますが、周囲から声を掛け難くなったり、事実、呼びかけが届かないこともあるでしょう。他、在宅時の勤務や娯楽時でも、家族からの呼びかけ、宅配のチャイム音、その他の異変に気付くのが遅れる場合があります。装着時間が長くなるに連れ、周囲の音が聞こえないデメリットは見逃せなくなってきたと言えます。
こうした中、イヤホンやヘッドホンの新潮流が「耳を塞がない」スタイルです。その始まりは、鼓膜ではなく、骨の振動を利用して音を聞く「骨伝導ヘッドホン」の普及が切っ掛けと考えられます。骨伝導は鼓膜に頼らないので、耳が完全にオープンな状態で利用でき、その特性が受け入れられて利用者が増えました。
反面、利用者が増えると、イヤホンと比べて低音の量感が得られ難く音質面で不満に感じたり、振動が不快に感じる方も出て来るなど、デメリットも表面化してきました。また振動を伝える為、頭部に一定の圧力で押し付ける必要があるのでネックバンド型が主流となっています。よって、完全ワイヤレスタイプの快適さに慣れた近年のユーザーにとっては、装着感も不満に感じがちです。
こうした紆余曲折を経て、今話題なのが、耳の近くに小さなスピーカーを設置するように装着し、オープンタイプとも呼ばれる、「耳を塞がないイヤホン/ヘッドホン」です。
このオープンタイプのイヤホンは、骨伝導と同様に周囲の音がそのまま聞こえ、スピーカーから聞こえる音質も比較的良好な製品が多いのが特徴。映画や音楽の鑑賞、講話の聴講などにも適します。また、骨伝導タイプのように振動しないのはもちろん、振動を骨に伝えるために頭部に押し付ける必要がないので、完全ワイヤレスタイプに仕立てることができ、事実、そうした製品が人気です。
実際にこのオープンタイプを利用すると、現在の仕事やライフスタイルに適することが分かります。スマホと組み合わせると着信を逃すことなく、そのまま通話も可能と便利です。音質がイヤホンのようにナチュラルなので、オフィスや自宅など、静かな場所で音楽や動画の音声を聞くのにも適します。一点、一般的なイヤホン・ヘッドホンや骨伝導タイプよりも音が外に漏れ易く、周囲の人に聞こえてしまう可能性はあります。
しかし、製品によっては漏れ音を小さくする機能が備わっているので、状況に合わせて音量を小さく調整すると、内容が漏れ伝わったり、騒音で迷惑を掛けることもないはずです。ほか、屋内外を問わず、エクササイズ、ランニング、ウォーキング時などに音楽を楽しむ方も多く、そうした用途に向けた防水性能を持つ製品も多数販売されています。
イヤホンのように耳穴の中が蒸れず、ヘッドホンのように装着部分が暑く感じることもないなど、快適さも特徴と言え、長時間の利用にもうって付けです。
日本経営合理化協会では、経営者や専門家が自らの体験を講話で伝え、より楽しむ聞き方を実学・耳学・磨く「MIMIGAKU(ミミガク)」として提供しています。オフィスで、自宅で、移動中に、そしてウォーキング時など、耳が空いている時間を、オープン型の「耳を塞がないイヤホン」で、有効活用してみてはいかがでしょうか? 「耳を塞がないイヤホン」なら、より幅広いシチュエーションでより長時間快適に活用できるはずです。
■お勧め製品例:
JBL「Soundgear Sense」
https://jp.jbl.com/SOUNDGEAR-SENSE.html
人気の耳掛け式完全ワイヤレスタイプです。このタイプの製品は、スピーカーと耳の位置関係がサウンド体験を大きく左右します。その点本製品は、フック部が前後に可動し、微調整可能なのが特徴です。また、水平方向に回転もするので、着脱も容易と、使い勝手の良さも抜群です。
GLIDiC 「HF-6000」
https://glidic.jp/hf-6000/
人気の耳掛け式完全ワイヤレスタイプで、充分な音質を確保しつつ、1万円を切る手軽な価格を実現しています。オープンタイプのイヤホンを先ずは試してみたいとう方にもお勧めです。
【写真GLIDiC 「HF-6000」/筆者撮影】